くにゅーニュース(2011年5月)
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☆命令でないのは、なぜ?

菅総理が出した浜岡原発運転停止要請に対して、中部電力は、現在検討中(5月8日時点)。

「要請」という形を取っているため、原発停止させるかどうかは、中部電力の自主判断となる。
これに対し、官僚型の姑息な手法との意見が強い。

本来なら、法律に基づく「命令」として、停止させるのが妥当との意見である。
電力事業は「特許」といわれる許可であるため、国がきびしく管理するのが当然だから、でもある。
         
今回の場合は、経済産業大臣名で、
「今般の東京電力福島第一原発事故を鑑み、原発の技術基準を見直し、基準に適合しているか再検討いたしたところ、中部電力浜岡原発は、この技術基準に適合していないと認められます。
電気事業法第四十条に基づき、一時停止を命ずる」
と、発令すればいいわけである。

もちろん、この命令に対して、中部電力は「異議申し立て」する権利をもつ。
また、異議申し立てが却下されたときには、裁判所に訴えることもできる。

官僚が自主規制という形をとるのは、これを避けるためともいわれている。
(異議申し立て、裁判となるのを回避するため)
さらに、先輩官僚が天下っているため、きびしい命令は出し辛いということも。

東京電力福島第一原発事故では、多数の国民が被曝した。
原発問題が、国民生命、財産に関わる重要な問題であるのはいうまでもない。
だから、政府から「命令」で指示すべきというのは、妥当な意見のようである。

【特許 (行政法)】
特許とは、行政官庁が、特定の者に対して、国民が本来有していない特別の権利や地位などを新たに与える行為をいう。
例えば、テレビ局の放送権(電波使用権)、携帯電話会社の電波使用権、電力会社の事業権など。
「国民が本来有していない特別の権利や地位などを新たに与える」という性質のため、行政官庁の裁量が広く認められる。

【電気事業法】
第三十九条(事業用電気工作物の維持)
事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を経済産業省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。
2 前項の経済産業省令は、次に掲げるところによらなければならない。
一 事業用電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。
二 事業用電気工作物は、他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないようにすること。
三 事業用電気工作物の損壊により一般電気事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。
四 事業用電気工作物が一般電気事業の用に供される場合にあつては、その事業用電気工作物の損壊によりその一般電気事業に係る電気の供給に著しい支障を生じないようにすること。
第四十条(技術基準適合命令)
経済産業大臣は、事業用電気工作物が前条第一項の経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。

【浜岡原発停止要請経緯】
2011年5月6日、菅直人総理が中部電力に対して、浜岡原発の原子炉すべて運転停止にするよう要請。
要請は、担当の海江田経済産業大臣を通じて。
今後起こるとされる東海地震に対する、安全対策が不十分のため。
(今後30年の間に、M8以上の東海地震が、87%の確率で起こるとされている)

【浜岡原子力発電所】
静岡県御前崎市にある中部電力の原子力発電所。
1号機から5号機まで、5つの発電設備をもつが、1号機と2号機は2009年1月に運転を終了した。
(すべて、低濃縮二酸化ウランを燃料とする原発)
東海地震の予想震源域にあり、活断層が直下にあるという説も。
ニュースINDEX.2011年5月
★政治・国内
『原発問題』

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