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AIJ関係者に参考人質疑

2012年3月27日、衆議院・財務金融委員会が、AIJ投資顧問の浅川和彦社長(59)などに対して、参考人質疑を行ないました。

1千億円を超える年金運用資金の損失を出した、AIJ投資顧問事件に関する参考人質疑。

参考人として出席したのは、浅川社長、アイティーエム証券(AIJ系列)の西村秀昭社長、コンサルタント会社(AIJと契約)を経営している石山勲氏(旧社会保険庁OB)、信託協会会長の野中隆史・みずほ信託銀行社長、日本証券業協会の前哲夫会長の5名。

参考人質疑で、浅川社長は年金運用成績の改ざんについて、「私が指示した」と述べ、偽装を行なっていたことを認めたうえ、自らの責任でやったことを明かにしました。

他の参考人との繋がりについては、「私が述べる立場に無い」として、発言を控えました。
       
このため、「なぜ、2千億円の企業年金を集めることができたのか?」など、この事件の核心部分についての証言を得ることができませんでした。

専門家からは、「参考人質疑だから」との意見が上がっています。
証人喚問と違い、ウソをついても、偽証罪などに問われることが無い参考人質疑であるため、事実解明はむずかしいとの意見です。
    
今後、事件の解明は、証券取引等監視委員会や検察などの調査・捜査に委ねられることになりました。

■AIJ投資顧問事件
AIJ投資顧問(東京都中央区)が、企業年金の運用の失敗で、約2千億円の資産が消失した事件。

AIJ投資顧問は、厚生年金基金の運用を主要事業とする投資顧問会社。
同社に運用を委託していたのは、84企業年金。
     
同社は、240%の運用利回りを確保していると、数字を粉飾した虚偽の資料で勧誘。
しかし、2012年1月の証券取引等監視委員会の検査によると、運用資産の大部分が消失していることが明らかとなりました。

また、同社は旧社会保険庁OB人脈を利用し、年金基金に食い込んでいました。
さらに、年金運用の専門誌において、ステルスマーケティングをしていた疑いも出ています。
        
2012年3月23日、証券取引等監視委員会が、金融商品取引法違反の容疑で、AIJ投資顧問に対して強制調査に入りました。
       
*AIJ投資顧問事件の経緯や概要は、現在、捜査、調査中のため、今後、大きく変わってくることもあります

■企業年金
国民年金、厚生年金などの公的年金とは別に、企業と社員が積み立てている年金。
    
自前の年金資金を運用するとともに、公的年金の厚生年金を借りて運用を行っています(厚生年金基金)。
自前の資金と分けるため、厚生年金から借りた資金は代行部分と呼ばれています。
    
代行部分で運用に失敗した場合は、企業が穴埋めするなどの仕組みとなっています。

■証券取引等監視委員会
証券取引や金融先物取引などの公正を守るため、監視(検査、指導)を行っている組織。
金融庁に属する審議会の一つ。

具体的には、金融商品取引法に基づき、金融商品取引業者などに対する立入検査、有価証券報告書虚偽記載などの犯則事件の調査、証券取引などの公正を確保するための行政処分、犯則事件の告発などを行う。