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福島第一原発事故は、人災

2012年7月5日、国会の原発事故調査委員会が、福島第一原発事故の調査報告書をまとめ、公表した。

国会の原発事故調査委員会は、昨年10月7日に施行された「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法」により設置され、半年間にわたり、福島第一原発事故について、調査を続けてきた。

「福島原子力発電所事故は終わっていない」
調査報告書は、このことを最初に。

事故は継続しており、被災した福島一原発の建物や設備、被害を受けた住民への対応が急務であると。

次に、今回の事故は、自然災害ではなく、あきらかな「人災である」と結論付けた。

2006年時点で、福島第一原発に敷地高さを超える津波が来た場合、全電源喪失に至ること。
海水ポンプが機能喪失し、炉心損傷に至る危険があることは、保安院も東電も知っていた。

そして、保安院は、東電が対策を先延ばししていることも知っていたが、明確な指示を行わなかった。

事故の根源的原因は、何回も対策を行う機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局、及び東電経営陣の意図的な先送り、不作為によって、安全対策が取られないまま、「3.11」 を迎えたことで発生したものであると。

そこには、電力事業の監督官庁でもある経産省、経産省の一部である保安院と、東電との間の癒着が。
この癒着が、一番大きな問題であると、調査委員会は結論付けた。

また、原発事故が発生した際、東電経営陣には、危機管理能力がまったく無かったことも、非常に大きな問題であるとした。
保安院も、官邸も、本来の仕事を行わなかったことも。
(発災直後の最も重要な時間帯に、緊急事態宣言を出すべきであった)

さらに、官邸は現地対策本部を通じて、事業者とコンタクトをすべきとされていたが、東電の本店、現場に直接的な指示し、現場の指揮命令系統を混乱させたと。

なお、東電は、現場からの全面退避を一切考えていなかったという結論も。
(官邸は、東電が、福島第一原発から全面撤退しようとしていたと発表していた)

【国会・原発事故調査委員会】
2011年10月7日に施行された「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法」により、国会に設置された委員会。

東京電力・福島第一原発事故の原因調査と、原子力に関する政策について提言を行うことを目的としている。

昨年12月から半年以上にわたり調査を続け、2012年7月5日、調査報告書をまとめ、公表した。

<福島第一原発事故調査委員会・委員長>
・黒川清(医学博士、東京大学名誉教授、元日本学術会議会長)
<委員>
・石橋克彦(地震学者、神戸大学名誉教授)
・大島賢三(独立行政法人国際協力機構顧問、元国際連合大使)
・崎山比早子(医学博士、元放射線医学総合研究所主任研究官)
・櫻井正史(弁護士、元名古屋高等検察庁検事長、元防衛省防衛監察監)
・田中耕一(化学者、株式会社島津製作所フェロー)
・田中三彦(科学ジャーナリスト)
・野村修也(中央大学大学院法務研究科教授、弁護士)
・蜂須賀禮子(福島県大熊町商工会会長)
・横山禎徳(社会システム・デザイナー、東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム企画・推進責任者)

【東京電力福島第1原発事故】
東京電力福島第1原発の事故は、INESの評価で『レベル7』
(一番悪い評価。深刻な事故)
1、2、3号機ともに、「メルトダウン」している。

放射性物質放出量は、
・保安院の計算によると、85万テラベクレル。
(2011年6月6日発表)
・安全委員会の計算によると、63万テラベクレル。
(2011年4月12日発表。事故発生から1ヵ月間の累積)
・東京電力の計算によると、約90万テラベクレル。
(2012年5月24日発表)

【福島第一原発事故経緯】
①2011年3月11日の地震により、福島第1原発は緊急停止。
*福島第一原発における震度は6強、津波の高さは14~15m。

②地震と津波により、「炉心を冷やす」ということができなくなった。
(地震で受電鉄塔の倒壊し、外部電源が途絶えたのが最大の原因。保安院4/27)
(さらにバックアップの非常用電源が働かず、炉心に冷却水を注入できなくなった)

③燃料棒が冷却水から露出、損傷(炉心溶融)。
(のちに、原子炉圧力容器、格納容器の破損に)

④また、燃料棒を冷やすことが出来ないため、原子炉圧力容器内の圧力が上昇。
(容器内の水が、高温で蒸発し、気圧を上げた)

⑤原子炉圧力容器内の圧力を下げるため、弁を開いて気体(微量の放射性物質を含む)を外へ逃がした。
(ベント。1号機3/12、2号機3/13、3号機3/13)

⑥ベントにより、水素ガスが外へ漏れ出した。
その漏れ出した水素が、原子炉建屋内に溜まり、水素爆発(建屋上部を吹き飛ばした)を起こした。
(水素爆発、1号機3/12、3号機3/14)
*4号機の水素爆発(3/15)は、3号機で漏れ出した水素が4号機建屋に溜まったため。
(東京電力の見解)


⑦原子炉圧力容器の核燃料棒(1,2,3号機)は、すべて溶融している。
(核燃料損傷割合は、1,2,3号機とも100%。フルメルト)
*1号機のメルトダウン(フルメルト)が確認された。(東京電力5/12)
*2号機、3号機もメルトダウン。(東京電力5/24)
*1、2、3号機ともに、3月下旬からメルトダウンとの認識。(原子力安全委員会5/17)


⑧1、2、3号機の原子炉圧力容器、格納容器ともに損傷している。
(2、3号機、原子力安全委員会3/29。1号機、東京電力5/12)

ニュースINDEX.2012年7月①
★災害・国内
『原発事故』

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