くにゅーニュース(Qnewニュース)
ホーム ニュース・経済 健康・料理 生活関係 テレビ娯楽 旅・観光 スポーツ
原子力規制委員会、東京電力に「指示」

2012年9月26日、原子力規制委員会は、東京電力に対し、福島第一原発3号機での事故について「指示」を行なったと発表。

事故は、9月22日、福島第一原発3号機で、屋上の瓦礫撤去中に鉄骨(7m、約470kg)が、使用済燃料プール内に滑り落ちたというもの。

<使用済燃料プールへの鉄骨落下について(指示)>
(原子力規制委員会、2012年9月26日)
1、鉄骨が落下したことによる使用済燃料、使用済燃料貯蔵ラック及び使用済燃料プールの健全性への影響を評価すること。

2、誤って鉄骨を落下させた原因を究明するとともに再発防止策を講ずること。

3、がれき等が使用済燃料プールに落下し、万が一使用済燃料が破損した場合を考慮した安全確保策を構築すること。

4、鉄骨等の落下により 3 号機使用済燃料プールが破損し水が漏出した場合を想定し、その影響を評価するとともに、燃料の健全性を維持するための対応策を示すこと。

5、以上について、10月3日までに当委員会に対し報告すること。

6、上記報告書の当委員会による評価が出るまでの間は、当該がれき撤去作業を再開しないこと。

【福島第一原発3号機・使用済燃料プールに鉄骨落下事故】
2012年9月22日、東京電力が、福島第一原発3号機で屋上の瓦礫撤去中に事故が発生したと発表。

東京電力によると、事故は、使用済燃料プール脇にあった鉄骨(7m、約470kg)をクレーンでつかもうとしていた最中に、当該の鉄骨が使用済燃料プール内に滑り落ちたというもの。
(3号機のプールには、566体の燃料棒が存在する)

22日の時点では、燃料プールの代替冷却システムの運転状態、スキマサージタンクの水位に異常は無く、発電所内のモニタリングポストの値、使用済燃料プール周辺の線量率に、大きな変動は無い模様。

【福島第一原発・使用済燃料プール内の燃料棒】
1号機…392体(使用済燃料292体、新燃料100体)
2号機…615体(使用済燃料587体、新燃料28体)
3号機…566体(使用済燃料514体、新燃料52体)
4号機…1533体(使用済燃料1331体、新燃料202体)
(計3108体)
*なお、使用済燃料プールは、建屋最上階の5階に設置されている。

【東京電力福島第1原発事故】
東京電力福島第1原発の事故は、INESの評価で『レベル7』
(一番悪い評価。深刻な事故)
1、2、3号機ともに、「メルトダウン」している。

放射性物質放出量は、
・保安院の計算によると、85万テラベクレル。
(2011年6月6日発表)
・安全委員会の計算によると、63万テラベクレル。
(2011年4月12日発表。事故発生から1ヵ月間の累積)
・東京電力の計算によると、約90万テラベクレル。
(2012年5月24日発表)

<現況>
・原子炉には、放出された量の100倍から300倍の放射性物質が残っている。
(かなりの量が、鋼鉄の原子炉の底を破り、格納容器に落下している模様。1、2、3号機とも。東京電力発表)
*保安院の計算(6/6)では、放出された放射能は、
1号機…ヨウ素は0.7%。セシウムは0.3%。
2号機…ヨウ素は0.4~7%。セシウムは0.4~6%。
3号機…ヨウ素は0.3~0.8%。セシウムは0.2~0.6%。


・今も、放射性物質の流出(放射能漏れ)が続いている。
(2011/12/1現在、初期と比べると減少している)
・多量の放射能汚染水が発生している。
・建屋内や施設内では、放射能濃度が高い場所が多数。
        
・2012年3月26日、2号機・格納容器に内視鏡を挿入、内部の状態を確認。
格納容器の水位は60センチしかなく、汚染水はダダ漏れの状態。
・さらに、2号機・格納容器内の放射線量も計測。
格納容器内の線量は、31.1シーベルト/h~72.9シーベルト/h。

・2012年6月27日、1号機の原子炉建屋地下で、10.3シーベルト/hの線量を計測。
(建屋内では最大の放射線量)
(放射性物質が損傷した炉心から、地下プールへ流れたため)
*政府や対策本部が発表する情報に、ご注意を。
        
<今後の見通し>
2011年12月21日、政府・東京電力中長期対策会議が開催され、「福島第一原発の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」が決定。

・今後10年以内に、東京電力の福島第一原発1~4号機から、核燃料を取り出す。
・20年~25年で、建屋から燃料デブリを取り出す。
・40年以内に、福島第一原発を廃炉にする。
      
【福島第一原発事故経緯】
①地震により福島第1原発は、緊急停止。
*福島第一原発における震度は6強、津波の高さは14~15m。

②しかし、地震と津波により、「炉心を冷やす」ということができなくなった。
(地震で受電鉄塔の倒壊し、外部電源が途絶えたのが最大の原因。保安院4/27)
(さらにバックアップの非常用電源が働かず、炉心に冷却水を注入できなくなった)

③燃料棒が冷却水から露出、損傷(炉心溶融)。
(のちに、原子炉圧力容器、格納容器の破損に)

④また、燃料棒を冷やすことが出来ないため、原子炉圧力容器内の圧力が上昇。
(容器内の水が、高温で蒸発し、気圧を上げた)

⑤原子炉圧力容器内の圧力を下げるため、弁を開いて気体(微量の放射性物質を含む)を外へ逃がした。
(ベント。1号機3/12、2号機3/13、3号機3/13)

⑥ベントにより、水素ガスが外へ漏れ出した。
その漏れ出した水素が、原子炉建屋内に溜まり、水素爆発(建屋上部を吹き飛ばした)を起こした。
(水素爆発、1号機3/12、3号機3/14)
*4号機の水素爆発は、3号機で漏れ出した水素が4号機建屋に溜まったため。
(東京電力の見解)


⑦原子炉圧力容器の核燃料棒(1,2,3号機)は、すべて溶融している。
(核燃料損傷割合は、1,2,3号機とも100%。フルメルト)
*1号機のメルトダウン(フルメルト)が確認された。(東京電力5/12)
*2号機、3号機もメルトダウン。(東京電力5/24)
*1、2、3号機ともに、3月下旬からメルトダウンとの認識。(原子力安全委員会5/17)


⑧1、2、3号機の原子炉圧力容器、格納容器ともに損傷している。
(2、3号機、原子力安全委員会3/29。1号機、東京電力5/12)
      
【福島第一原発事故原因】
2012年7月5日、国会の原発事故調査委員会が、福島第一原発事故の調査報告書をまとめ、公表。
(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法により、国会に設置された委員会)

調査委員会は、
『福島第一原発事故は、自然災害では無く、あきらかな人災』
と結論付けた。

1、2006年時点で、福島第一原発に敷地高さを超える津波が来た場合、全電源喪失に至ること。
海水ポンプが機能喪失し、炉心損傷に至る危険があることは、保安院も東電も知っていた。

そして、保安院は、東電が対策を先延ばししていることも知っていたが、明確な指示を行わなかった。

事故の根源的原因は、何回も対策を行う機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局、及び東電経営陣の意図的な先送り、不作為によって、安全対策が取られないまま、「3.11」 を迎えたことで発生したもの。

電力事業の監督官庁でもある経産省、経産省の一部である保安院と、東電との間の癒着が一番大きな問題である。

2、原発事故が発生した際、東電経営陣には、危機管理能力がまったく無かったことも、非常に大きな問題。
保安院も、官邸も、本来の仕事を行わなかった。
(発災直後の最も重要な時間帯に、緊急事態宣言を出すべきであった)

3、官邸は現地対策本部を通じて、事業者とコンタクトをすべきとされていたが、東電の本店、現場に直接的な指示し、現場の指揮命令系統を混乱させた。

なお、東電は、現場からの全面退避を一切考えていなかったという結論も。
(官邸は、東電が、福島第一原発から全面撤退しようとしていたと発表していた)

ニュースINDEX.2012年9月③
★災害・国内
『福島第一原発事故』

Qnewニュース