14日、日本・ASEAN特別首脳会議
2013年12月14日、東京・迎賓館で、日本・ASEAN特別首脳会議が開催された。
外務省によると、安全保障、経済協力、防災、人的交流など多岐にわたって話し合われ、「日本・ASEAN友好協力に関するビジョン・ステートメント」、「地域・地球規模課題に関する共同声明」という形でまとめられた。
注目の中国の東シナ海・防空識別圏問題については、「自由で安全な飛行を確保するため、協力を強化する」という文言になった。
<日本・ASEAN特別首脳会議の主な成果>
(外務省発表)
1、政治・安全保障
安倍総理が、「積極的平和主義」を表明。国家安全保障会議や国家安全保障戦略の策定等について説明。
ASEAN側は、この日本の取組を支持。
海洋安全保障及び海上の安全、航行の自由などは、国際法に基づく平和的手段による解決が重要との認識で一致。
空と海での繋がりに関する協力を、強化することでも一致。
上空飛行の自由、民間航空の安全を確保するための協力を強化することでも一致。
2、経済協力
すべての首脳が、日本・ASEAN包括的経済連携協定の投資、サービス交渉が実質合意に至ったことを歓迎。
日本が今後5年間で2兆円のODAを行うこと、1億ドルの日本ASEAN統合基金の設置を表明。
これに対し、ASEAN側から謝意が示された。
3、防災協力
安倍総理がASEANに対し、災害対処能力向上、高品質な防災インフラ整備を柱とし、5年間で3千億円規模の支援と1千人規模の人材育成を実施することを表明。
ASEAN側から、日本の支援、協力に謝意を表された。
4、交流
安倍総理が国際交流基金内にアジアセンターを立ち上げ、2020年までの7年間を目途に、1千人以上の芸術家・文化人の対話・交流事業や、3千人以上の日本語学習パートナーを派遣して、現地教師とともに、日本語学習者を支援する事業等を実施することを発表。
【日本・ASEAN首脳会議】
1077年に、第1回目の会議が開催される。
日本は、ASEANが地域機構として確立していることを認め、連携していくことを表明。
以降、不定期に開催され(2009年以降は毎年開催)、2013年12月、東京で開催されたのが17回目となる。
(主にASEAN首脳が集まった機会に開催されている)
なお、17回目の首脳会議は、2013年が日本・ASEAN友好協力40周年となるのを記念して、開催される。
(1973年に設立された「日本・ASEAN合成ゴムフォーラム」が交流のスタート)
【中国の東シナ海・防空識別圏問題】
2013年11月23日、中国が、東シナ海(朝鮮半島の南~台湾の北側まで)上空に「防空識別圏」を設定したと発表。
この防空識別圏には、尖閣諸島(沖縄県石垣市)上空周辺も含まれている。
(日本の領空を、中国の防空識別圏とした)
(また、日本の設定している防空識別圏と大きく重なり合う空域で、戦闘が起こる可能性も高い)
これを受け、同日、外務省は韓志強駐日公使に抗議。
アメリカも、同日、中国に外交・軍事ルートで強い抗議を行なった。
2013年11月26日、アメリカの爆撃機が、中国に事前通告を行わず、同防空識別圏を飛行したが、中国からの反応は無かった。
2013年11月26日、オーストラリアのジュリー・ビショップ外務大臣が、中国の同防空識別圏設定に対して、反対声明を発表。
2013年11月28日、EUのアシュトン上級代表が、中国の同防空識別圏設定に対して声明を発表し、強い懸念を表わした。
2013年11月28日、菅官房長官が、自衛隊がこの空域(中国が設定した防空識別圏内)で通常の警戒活動を続けているが、これに対し中国側からの反応は無いと発言。
2013年11月28日、自民党政務調査会が、中国の東シナ海・防空識別圏設定に対して、即時撤回するよう決議を行う。
2013年12月3日、安倍総理が、来日中のジョセフ・バイデン・アメリカ副大統領と会談。
黙認せず、アメリカと緊密に連携し対応することを発表(共同記者会見にて)。
2013年12月4日、ジョセフ・バイデン・アメリカ副大統領が中国を訪問。
中国の習近平国家主席と会談し、防空識別圏設定を認められないことを伝えた。
2013年12月6日、衆議院で、「中国による防空識別圏設定に抗議し撤回を求める決議」が全会一致で可決。
(日本に対する侵略行為であり、到底容認することはできない。即時撤回を求めるという内容)
2013年12月7日、参議院で、「中国による防空識別圏設定に抗議し撤回を求める決議」が可決、採択。
(6日に衆議院で採択された決議と同じ内容)
<防空識別圏(ぼうくうしきべつけん)>
英語では「Air Defense Identification Zone」。
「ADIZ」、「アディズ」ともいう。
国の防空上の理由から設定された空域。
国の領空は、領土と領海(12海里)の上空であるが、スピードの早い航空機は他国の領空を侵犯したあと、その国の奥深くまで侵入することができる。
そのため、領空の外側に「防空識別圏」というエリアを設定。
このエリアに届けのない航空機が進入したすると、対領空侵犯措置(戦闘機が緊急発進し、警告)が行われる。
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