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商船三井、支払いを行う、差し押さえ解除

2014年4月24日、商船三井は、中国当局による船舶差し押さえが解除されたと発表。

船舶差し押さえが長引くとお客様にご迷惑をおかけすること、また、中国での事業活動に悪影響を生じかねないことを勘案し、商船三井が支払いを行なったため。
なお、中国当局による船舶差し押さえについては、21日、菅官房長官が日中共同声明を根底から揺るがしかねない事案と見解を述べている。

【中国当局による商船三井の船舶差し押さえ事件】
(商船三井がプレスリリースしたものをまとめたものです)
商船三井の前身のひとつ「大同海運」が、1936年、中国船主(中威輪船公司)から貨物船2隻を定期傭船した。
その後、日本政府がこの貨物船を徴用。
戦時中、この貨物船2隻は、沈没、消息不明となった。
1970年、中威輪船公司が、日本政府を相手に東京地方裁判所に提訴。
1974年、東京地裁は、消滅時効の成立を理由に棄却。
(日本では、この判決が確定)

1988年、中威輪船公司代表者の相続人が、商船三井を被告として、上海海事法院に定期傭船契約上の債務不履行等による損害賠償請求を提起した。
2007年、上海海事法院にて、原告中威輪船公司に対して約29億円の損害賠償を命ずる一審判決が出された。
商船三井は、これを不服として控訴。
2010年、上海市高級人民法院より、第一審判決を支持する判決が。
これを受け、商船三井は、最高人民法院に本件の再審申立てを行った。
2011年、同申立てが却下された。
2014年4月19日、中国当局により、商船三井の鉄鉱石運搬船'BAOSTEEL EMOTION'が、中国浙江省にて、差し押さえを受けた。
2014年4月24日、商船三井が支払いを行い、差し押さえが解除された。

なお、1972年の日中共同声明により、戦争賠償の放棄が宣言されている。

【日中共同声明(1972年)】
正式名は、「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明」。
1972年、中国・北京で、当時の田中角栄・総理大臣と、中国の周恩来・国務院総理の間で、調印された共同声明。
これにより、日本と中国の国交が正常化した。

なお、この声明は「条約」という形式を採っていないため、法的効力(法規範性、国際法として拘束力がある規定かどうか)が問題となり、裁判で争われた。
「中国人の強制連行による損害賠償請求権が、声明(戦争賠償の放棄)により放棄されたか」という点について、2007年、最高裁判所は、声明は「法としての拘束力がある規定」であり(国際法上の法規範性を認定)、請求権は放棄したものとした。

<要旨(原文をわかりやすくまとめたもの)>
1、日本と中国との間の不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する。
2、日本は、中国政府が中国唯一の合法政府であることを承認する。
3、中国は、台湾が中国の領土の一部であることを重ねて表明する。
4、日本と中国は、1972年9月29日から外交関係を樹立することを決定した。
5、中国は、日本に対する戦争賠償の請求を、放棄することを宣言する。
6、日本と中国は、主権、領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等、平和共存の諸原則の基礎の上に、恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。
7、日中の国交正常化は、第三国に対するものではない。
8、日本と中国は、平和友好関係を発展させるため、平和友好条約の締結交渉を行うことに合意した。
9、日本と中国は、貿易、海運、航空、漁業等の協定交渉を行うことに合意した。

【商船三井】
三井グループに属する大手海運会社。
(日本郵船、川崎汽船と並ぶ日本三大海運会社のひとつ)
本社は、東京都港区虎ノ門。
連結売上高(2012年度)は、1兆4千億円強。

1942年、三井船舶として設立。
1964年に大阪商船と合併。
1999年にナビックスラインと合併し、略称だった「商船三井」を正式名に。

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『中国』

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