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布野幸利氏、日銀・審議委員に就任

2015年7月1日、元トヨタ副社長の布野幸利氏が、日本銀行政策委員会・審議委員に就任した。
(同日、内閣が任命)

6月30日に任期満了となり、退任した森本宜久氏の後任。
任期は5年で、2020年6月30日まで。
 
同日行われた就任会見で、布野氏は、
「私は、1970年、トヨタに入社した後、フィリピンに輸出する仕事を担当。その後、アメリカのビジネススクールに行き、帰国してからは、オーストラリアを担当」
「オーストラリアは、1980年代に入ってからも、9年間、駐在した」
 
「1990年代初めからは、東京でアジアと中近東の仕事を担当、1990年代後半からは、アメリカを担当するようになり、2006年から2009年まで北米の責任者に」
「2009年に副社長となり、以降、海外全体を担当する責任者となった」
と、トヨタで海外畑を歩んだ自己の経歴を説明。
    
「私は、トヨタにいた45年のうち、20年間は外国暮らし。そのため、統計数字の背景にある経済状態がどのようなものか、海外の動きを肌で感じることができるのではないかと思っている。これを政策決定会合の中で伝えて活きたい」
と、政策委員になった抱負を述べた。
           
また、現在の日銀の政策について、
「量的・質的金融緩和により、経済に少し明るいところが見えてきたと感じている。一方、緩和の副作用(マイナスの部分)はある。その副作用は常に監視していく必要がある」
「経済成長率2%を達成していくことは、もちろん重要で、それに加えて、実体経済における生産性や競争力が備わっているを監視していく必要もある」
と述べ、現在の政策に支持を表明するとともに、経済状況を注意深く監視していく必要性も訴えた。
         
為替については、深く立ち入ることは避けたいとしたうえで、
「為替は、市場が決めていくものと考えています。そういう意味で、企業や経済は、為替の変動に耐性をつけていかなければならないと考えています」
と述べ、為替変動は各企業において対応するのが基本であるとした。
         
*日本銀行の最高意思決定機関である「政策委員会」のメンバー(総裁、副総裁2名、審議委員6名)は、すべて内閣が任命する。
*任命には国会の同意が必要。

<布野幸利(ふのゆきとし)>
1947年2月1日生れの68歳。
島根県出雲市出身。
■学歴
1965年3月、島根県立大社高校卒業
1969年11月、神戸大学経営学部卒業
1976年5月、米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了
■職歴
1970年4月、トヨタ自動車販売に入社。
2000年6月、トヨタ自動車の取締役に就任。
2003年6月、米国トヨタ自動車販売社長に就任。
2005年6月、米国トヨタ自動車販売会長に就任。
2006年5月、トヨタモーターノースアメリカ取締役会長に就任。
2009年6月、トヨタ自動車代表取締役副社長に就任。
2013年6月、トヨタ自動車の相談役、国際経済研究所の代表取締役に。
■日銀政策委員就任まで
2015年4月21日、安倍内閣が、6月末で任期満了となる森本宜久氏の後任に、布野氏を起用する人事案を国会に提示。
2015年5月21日、衆議院本会議で、布野氏の任命について、賛成多数で同意。
2015年5月22日、参議院本会議で、布野氏の任命について、賛成多数で同意。
(自民、民主、公明、維新の党、次世代の党が賛成した)
2015年7月1日、布野氏が、日本銀行政策委員会・審議委員に就任。

<日本銀行・政策委員会委員(2015年7月1日現在)>
・黒田東彦(総裁)…2018年4月
・中曽宏(副総裁)…2018年3月
・岩田規久男(副総裁)…2018年3月
・白井さゆり…慶応大学教授、2016年3月
・石田浩二…三井住友ファイナンス社長、2016年3月
・佐藤健裕…モルガン・スタンレー証券、2017年6月
・木内登英…野村証券金融経済研究所、2017年6月
・原田泰…早稲田大学政治経済学術院教授、2020年3月
・布野幸利…トヨタ元副社長、2020年6月
(年月は任期)

ニュースINDEX.2015年7月①
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『日本銀行』

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