ジカウイルス感染症(ジカ熱)
ジカウイルスが原因の感染症。発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛などの症状がでます。
発熱の症状から「ジカ熱」とも呼ばれています。また、妊娠中などに感染した場合、小頭症や重症な胎児の脳障害を引き起こすことも多い。
感染は、ウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されたことで伝染ります。極めて稀なケースとして、献血や性交渉による感染の可能性も指摘されています。
ジカウイルスを保有した蚊に刺され、感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は2~12日。主に2~7日で、およそ2割の人に発症すると言われています(感染しても8割の人間は症状が出ない)。
2007年のミクロネシア連邦ヤップ島での流行以降、2015年に入り、ブラジルを中心に中南米やカリブ海領域で流行。その後、世界中に感染が広がりました。
感染発生国へ渡航される方は注意を。特に妊娠中の方、妊娠を予定している方は、流行国・地域への渡航・滞在を可能な限り控えてください。
なお、2017年5月30日現在、日本でも12例のジカウイルス病の症例が確認されています(いずれも輸入症例)。
*世界保健機関(WHO)は、ジカウイルス感染症について、4つのカテゴリーに分類して注意喚起を行っています。妊娠中の女性に対しては、カテゴリー1とカテゴリー2に含まれる地域には渡航しないよう呼びかけています
感染・症状・予防
感染経路
ジカウイルスによる感染症で、ウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染します。極めて稀なケースとして、献血や性交渉による感染の可能性も指摘されています。
症状
ジカウイルスを保有した蚊に刺されて感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は2~12日。主に2~7日で、およそ2割の人に発症すると言われています。
発症すると軽度の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、斑丘疹、疲労感、倦怠感などを呈しますが、一般的にデング熱やチクングニア熱より軽症と言われています。ただし、妊婦が感染した場合には小頭症など、胎児に重篤な脳障害を引き起こすことが多い。
治療方法
現在、ジカウイルス感染症には有効なワクチンや特異的な治療法はなく、対症療法が行われます。
ジカウイルス感染症が流行している地域で蚊に刺された後に発熱が続く、または発疹が出るなど、ジカウイルス感染症を疑う症状が現れた場合には、医療機関への受診をお勧めします。
予防
ジカウイルス感染症には有効なワクチンもなく、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防方法です。
日本国内における感染者
2016年の1年間で、9例の感染例が確認された。いずれも輸入症例で、ブラジルや中南米への渡航歴がありました。2015年以前の感染例を加えると、これまでに12例の感染例が確認されています。いずれも輸入症例です。
発生国
▮ カテゴリー1
2015年以降初めて、又は再び感染事例が報告され、現在も感染伝播が起きている地域
アフリカ地域
アンゴラ、ギニアビサウ
中南米地域
アルゼンチン、アンティグア・バーブーダ、グレナダ、キューバ、セントルシア、セントクリストファー・ネーヴィス、セントビンセントグレナディーン諸島、ドミニカ、トリニダード・トバゴ、バルバドス、ベリーズ、ペルー、英領(アンギラ、タークス・カイコス諸島、バージン諸島、モントセラト)、フランス領(サン・マルタン、)、オランダ領(アルバ、ボネール、キュラソー、シント・マールテン、シント・ユースタティウス島及びサバ島)、米領バージン諸島
北米地域
米国フロリダ州の一部地域、米国テキサス州の一部地域
アジア地域
シンガポール
大洋州地域
サモア、ソロモン、トンガ
▮ カテゴリー2
2015年以前にウイルス伝播が確認、又は2015年以降新たに感染事例が報告され、中断なく感染伝播が起きている地域
アフリカ地域
ウガンダ、ガボン、カーボベルデ、カメルーン、コートジボワール、セネガル、中央アフリカ、ナイジェリア、ブルキナファソ、ブルンジ
中南米地域
エクアドル、エルサルバドル、ガイアナ、グアテマラ、コスタリカ、コロンビア、ジャマイカ、スリナム、ドミニカ共和国、ニカラグア、ハイチ、パラグアイ、パナマ、ブラジル、ベネズエラ、ボリビア、ホンジュラス、メキシコ、米領プエルトリコ、フランス領ギアナ
アジア地域
インド、インドネシア、カンボジア、タイ、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、モルディブ、ラオス
大洋州地域
パプアニューギニア、フィジー
▮ カテゴリー3
感染伝播は途絶えているが、将来感染伝播が起こる可能性がある地域
中南米地域
バハマ、フランス領(グアドループ、サン・バルテルミー島、マルティニーク)、英領ケイマン諸島
大洋州地域
バヌアツ、パラオ、マーシャル、ミクロネシア、チリ領イースター島,クック諸島、仏領ポリネシア、仏領ニューカレドニア、米領サモア
▮ カテゴリー4
ネッタイシマカの生息が確認されているが、これまでに感染事例の報告がない地域
アフリカ地域
エジプト、エリトリア、エチオピア、ガーナ、ガンビア、ギニア、ケニア、コモロ、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、サントメ・プリンシペ、ザンビア、シエラレオネ、ジブチ、ジンバブエ、スーダン、赤道ギニア、セーシェル、ソマリア、タンザニア、チャド、トーゴ、ナミビア、ニジェール、ベナン、ボツワナ、モザンビーク、マダガスカル、マラウイ、マリ、南アフリカ、南スーダン、モーリシャス、リベリア、ルワンダ、仏領マヨット、仏領レユニオン
中南米地域
ウルグアイ
中東地域
イエメン、オマーン、サウジアラビア
ヨーロッパ地域
ジョージア、トルコ、ロシア、ポルトガル領マディラ
アジア地域
スリランカ、中国、ネパール、パキスタン、東ティモール、ブータン、ブルネイ、ミャンマー
大洋州
オーストラリア、キリバス、クリスマス諸島、ツバル、ナウル、ニウエ、ニュージーランド領トケラウ、米領(グアム、北マリアナ諸島)、仏領ウォリス・フツナ
*2018年1月22日現在
小頭症等との関連
2016年4月13日、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は、ジカウイルスが小頭症及びその他の重症な胎児の脳障害を引き起こす原因であると発表。
ブラジル保健省によれば、2015年11月から2016年10月第3週までに、同国内で9862例の小頭症の疑い例が報告された。このうち、検査結果が確定した6827件のうち2063件について、先天性小頭症及び(又は)中枢神経異常と判定されています。
引き続き、妊婦及び妊娠予定の方の流行国・地域への渡航及び滞在は可能な限りお控えください。
*参考…国立感染症研究所・ジカウイルス感染症、厚生労働省・ジカウイルス感染症に関するQ&A、外務省・感染症危険情報
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