翌朝、阪急電車で大阪梅田へ向かった。
改札を出たあと、東へ約10分。目的の場所に到着した。
レッド・ウイドウは昔流に言うと、ディスコ。5階建てビルの地下にあった。ビルの横に店へ通じる階段があり、従業員の男が掃き掃除をしていた。
「聞きたいことがある?」
元刑事の迫力ある声で尋ねた。
「勘弁してくださいよ」
(何かある!)
「常連の木下という高校生だ。彼について聞きたい」
畳み掛けた。
「本当に勘弁してくださいよ。前に話したのが、すべてです。これ以上、何もないですから」
刑事と勘違いしていた。無理も無かった。容姿、動作、話し方、刑事しか見えない。
「それに逮捕されたあと、ここには…」
(逮捕!)
「殺人事件を調べている。話を聞きたい」
デマカセであった。岩田は絵を探しているだけ。階段を下り、店内へ入った。
おしゃれな装飾が施された店内は清掃中であったが、他に人はいなかった。
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