翌朝、地下鉄・御堂筋線で新大阪へ向かった。
殺害された田々和のマンションはオートロックでは無く、監視カメラも無かった。
建物に入ると、大阪府警の畠山警部補がいた。
「昨日の電話のあと、気になりまして。もう一度、調べてみようと」
先輩がここに来ると考え、気をきかせたようだ。
「きれいな部屋だな」
3階の東の端に位置する部屋はモノトーンで統一された、必要最小限の家具だけが置かれていた。一言で言えば、モデルルームのような室内である。
「ええ。男の部屋とは思えません」
家具が少ないため、絵は無いとすぐにわかった。
「鑑識によれば、室内を物色した跡がありました。しかし、田々和以外の指紋は検出されていません。管理人や隣の住人も、特に変わったことは無かったと証言しています」
「単独犯か、あるいはプロということだな」
複数の『素人』が訪れたなら、物音や気配で隣の住人が気付いている。
「関係する場所はすべて調べましたが、絵はありませんでした」
「誰かが持ち去ったということだな」
|
|
|
|