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笹子トンネル崩落事故から1年

2013年12月2日、笹子トンネル崩落事故から1年となるこの日、山梨県都留市で追悼慰霊式が行われた。

笹子トンネル崩落事故は、1年前の12月2日、中央自動車道のこのトンネルの天井板が崩落。
走行していた3台の車が天井板の下敷きとなり、9名が死亡した事故。

なお、事故原因については、今年6月18日、国土交通省内に設置された『トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会』が、トンネル天井板を吊り下げていた接着系ボルトの「設計の問題」、接着系ボルトの「製品の問題」、「施工の問題」、「点検の問題」による複合要因と発表した。

一方、天井板の危険性(崩落する)は、かなり以前から指摘されていたため、根本的対策を怠ってきた「中日本高速」の組織的責任との意見も多い。
(この事故が起こる前から、「西日本高速」は天井板の撤去を行っていた)

【笹子(ささご)トンネル崩落事故】
山梨県大月市と甲州市の間にある、中央自動車道のトンネル。
(大月JCTー勝沼IC間)
上下線が、別々のトンネルとなっている。
下りは4717m、上りは4784m。
(ともに2車線)

2012年12月2日午前8時頃、笹子トンネル(上り線)の天井板が140メートルにわたり、崩落。
(天井板はコンクリート製で、トンネルの天井から、鉄製の棒で吊り下げている)
(1枚の大きさは5×2メートルで、重さ約1トン)
3台の車が崩落した天井板の下敷きとなり、9名が死亡。

【笹子トンネル天井板の落下事故の調査報告書・概略】
(2013年6月18日、調査検討委員会発表)
(報告書の内容をわかりやすく「くにゅーニュース」がまとめたものです)


<事故発生要因>
事故は、以下の要因が複数作用し、累積された結果、致命的な事故に至ったと考えられる。
(1) 設計に係わる問題
天頂部「接着系ボルト」に生ずる引張力は、設計で見込まれた引張力を超えていたと考えられる。
また、各ボルトが負担する引張力に、ばらつきがあったと考えられる。

(2) 製品に係わる事項
接着系ボルトの建設当時の製品カタログでは、施工仕様、品質管理規定の記載が明確でなかった。
また、当時のカタログには「変質、老化の心配はない」と記載されていた。
しかし、長期耐久性に関する知見としては、35年を超えたのちの接着剤引抜強度の試験結果は我が国ではない。

(3) 施工に係わる事項
特記仕様書、設計報告書及び完成図における接着系ボルト孔の削孔深さやボルト埋込み長の記載について、矛盾点があった。
また、実際に、ボルト孔の削孔深さとボルトの埋込み長が異なっているものが相当数存在することを確認した。
つまり、建設当初から、所定の接着剤引抜強度が得られていないものが一定程度存在したものと考えられる。

(4) 点検に係わる事項
中日本高速の笹子トンネル天井板に対する、事故前の点検内容や維持管理体制は不十分であったと言わざるを得ない。
12年間にわたり、L断面天頂部ボルトに対して、ボルトに近接しての目視及び打音が未実施であった。
補修補強履歴の保存体制に、不備があった。

<再発防止策>
「接着系ボルトにより天井板を吊す構造」の既設トンネル
接着系ボルトに対して、近接点検(近接目視、打音及び触診)を行うことは有効。
しかし、接着系ボルトは、完成後には打設状態の把握が困難であることなど、技術的な限界も確認された。

以上から「既設のトンネル天井板」に対しては、
換気方式の変更の可否、周辺交通への影響等を考慮し、可能ならば、撤去することが望ましい。
存置する場合は、第三者被害を防止するための措置として、バックアップを設置すべき。
(接着系ボルトが負担できなくなった場合に当該部材が落下しないようにバックアップする)

<今後の接着系ボルトの使用>
接着剤樹脂については、疲労等の長期耐久性について、十分な知見があるとは言えない。
このため、トンネル天井板、ジェットファン、道路標識等を固定する吊り構造等の常時引張り力を受ける箇所へは、原則として接着系ボルトの使用を避けるべきである。

【トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会】
2012年12月2日に発生したトンネル天井板の落下事故を受けて、落下の発生原因の把握や、再発防止策等について専門的見地から検討するため、国土交通省に設置された委員会。
委員は、学識経験者(主に工学博士)

5回にわたる検討会を行い、2013年6月18日、事故の原因、再発防止策をまとめた調査報告書を発表。

ニュースINDEX.2013年12月①
★社会・国内
『事故』

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