防空識別圏設置、EUも強い懸念を表明
2013年11月28日、EUのアシュトン上級代表が、中国の東シナ海・防空識別圏設置について声明を発表。
EUも、中国の東シナ海・防空識別圏設置に強い懸念を表明した。
<EU・アシュトン上級代表声明>
欧州連合(EU)は、中国が東シナ海の防空識別圏の設置を決定したとの報に伴い、中国国防省が非遵守の場合には『緊急防衛措置』を取るとの発表が行われたことに、懸念を深めている。
この行為は、事態拡大のリスクを高めるのみならず、当該地域における緊張を強めることにつながるものだ。
EUは、あらゆる側に慎重と自制を求める。
EUは、同地域に重大な関心を有していることから、この動向を注視する。
海空域の合法的使用は、国際法が定める権利であり、安全と安定と繁栄に不可欠である。
そのような権利を問題にすること、あるいはそう見えることは、東アジアの海域に存在する不和を永続的に解決する道を見いだす助けとはならない。
EUは、緊張を和らげ、立場の相違を建設的に解決するために、すべての当事者が事態の沈静を図り、信頼醸成のための措置を進め、国際法に則った平和的かつ協力的解決を模索すべく外交的な接触に努めることを求める。
【中国の東シナ海・防空識別圏問題】
2013年11月23日、中国が、東シナ海(朝鮮半島の南~台湾の北側まで)上空に「防空識別圏」を設定したと発表。
この防空識別圏には、尖閣諸島(沖縄県石垣市)上空周辺も含まれている。
(日本の領空を、中国の防空識別圏とした)
(また、日本の設定している防空識別圏と大きく重なり合う空域で、戦闘が起こる可能性も高い)
これを受け、同日、外務省は韓志強駐日公使に抗議。
アメリカも、同日、中国に外交・軍事ルートで強い抗議を行なった。
2013年11月26日、アメリカの爆撃機が、中国に事前通告を行わず、同防空識別圏を飛行したが、中国からの反応は無かった。
2013年11月26日、オーストラリアのジュリー・ビショップ外務大臣が、中国の同防空識別圏設定に対して、反対声明を発表。
2013年11月28日、EUのアシュトン上級代表が、中国の同防空識別圏設定に対して声明を発表し、強い懸念を表わした。
<防空識別圏(ぼうくうしきべつけん)>
英語では「Air Defense Identification Zone」。
「ADIZ」、「アディズ」ともいう。
国の防空上の理由から設定された空域。
国の領空は、領土と領海(12海里)の上空であるが、スピードの早い航空機は他国の領空を侵犯したあと、その国の奥深くまで侵入することができる。
そのため、領空の外側に「防空識別圏」というエリアを設定。
このエリアに届けのない航空機が進入したすると、対領空侵犯措置(戦闘機が緊急発進し、警告)が行われる。
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