OPCW、シリアの化学兵器使用を結論
2020年4月14日、外務省は、シリアの化学兵器使用について、外務報道官談話を発表。
シリアは、2011年から反政府勢力と政府当局との間で、武力衝突が続いていました。
武力衝突で、2017年に政府側がサリンなどの化学兵器を使用した疑いがあり、化学兵器禁止機関(OPCW)の調査チーム(IIT)が
調査を行っていました。
4月8日、OPCWの調査チームが報告書を発表し、2017年3月24日と30日に、シリア空軍がラタミナ南部において、化学兵器(サリン入りの爆弾を投下)を使用したと結論付けました。
また、この化学兵器により、少なくとも16名(24日)と60名(30日)の被害者が発生したと報告。
さらに、2017年の3月25日にも、シリア空軍がラタミナ市内の病院にシリンダーを投下し、漏洩した塩素により、少なくとも30名の被害者が生じたと報告しました。
この報告書発表を受けての外務報道官談話。
報告書発表に歓迎を表わすとともに、化学兵器使用の再発防止のため、OPCWの取組を全面的に支援していくことを表明しました。
なお、シリアは2018年に国連仲介の下、政府側と反政府側が憲法委員会設置で合意、2019年10月から同委員会が活動を開始するなど、和平が進んでいます。
ただし、現在でも局地的に(シリア北西部で)、軍事衝突が発生しています。
*憲法委員会…シリアの政治的解決に向けて、新憲法を起草するための委員会。
■化学兵器禁止機関(OPCW)
1997年4月に発効した化学兵器禁止条約に基づき設立された国際機関。
本部はオランダのハーグ市。
世界的な化学兵器の全面禁止、不拡散のため、現存する化学兵器の廃棄などを監視しています。
2013年に、世界の化学兵器の廃絶に向けた功績が評価され、ノーベル平和賞を受賞しました。
■シリア情勢
シリアは、2011年以来、国内各地において、反政府勢力と政府当局との間で武力衝突が発生。
約25万人の死者、約650万人の国内避難民が発生し、周辺諸国に約480万人の難民が流出しました(2016年6月現在、国連発表)。
この事態を受け、2016年以降、国連仲介の下、政治的解決に向けて、シリア政府と反体制派との間で協議が続けられました。
2018年1月、シリア国民対話会議において、憲法委員会の設置が合意しました。
憲法委員会は、シリアの政治的解決に向けて、新憲法を起草するための委員会。
以降、国連仲介の下、憲法委員会の設立に向けた交渉が行われました。
2019年9月23日、シリア政府と反体制派(シリア交渉委員会)が、国連の仲介の下、憲法委員会の設立に合意。
2019年10月30日、憲法委員会がジュネーブで開催され、同委員会が活動を開始しました。
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