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福島第1原発事故

2011年3月11日に発生した、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の揺れと津波により、東京電力・福島第1原発(福島県大熊町)で発生した原子力事故。
  
1号機、2号機、3号機が炉心溶融(メルトダウン)し、また、水素爆発を起こし、多量の放射性物質が放出されました。
     
INES(国際原子力事象評価尺度)の評価で、レベル7(一番悪い評価。深刻な事故)となりました。放射性物質放出量は東京電力によると、約90京ベクレル(2012年5月24日発表)。
    
*1京ベクレル=10,000,000,000,000,000ベクレル


 
事故・経緯
 
2011年3月11日14時46分に発生した東日本大震災により、福島第1原発では震度6の揺れを観測、原発は緊急停止しました。
     
地震直後、福島第1原発には地震による津波(14~15m)が押し寄せました。
       
この地震の揺れと津波により、受電鉄塔が倒壊し、外部電源が途絶えたため、炉心に冷却水を注入できず、原発は「炉心を冷やす」ということができなくなりました。
      
また、バックアップの非常用電源が働かなかったことも要因です(保安院2011年4月27日発表)。

このため、燃料棒が冷却水から露出し、損傷(炉心溶融)。その後、原子炉圧力容器の核燃料棒(1、2、3号機)は、すべて溶融し、原子炉圧力容器、格納容器の破損につながりました(核燃料損傷割合は、1、2、3号機とも100%。フルメルト)。

また、燃料棒を冷やすことが出来ないため、原子炉圧力容器内の圧力が上昇(容器内の水が高温で蒸発し、気圧を上げた)。

原子炉圧力容器内の圧力を下げるため、弁を開いて気体(微量の放射性物質を含む)を外へ逃がす、ベントが行われました。3月12日に福島第1原発の1号機で、3月13日に2号機と3号機でベントが行われました。

このベントにより、水素ガスが外へ漏れ出し、原子炉建屋内に溜まり、1号機は3月12日に水素爆発(建屋上部を吹き飛ばした)を起こしました。
     
3号機は3月14日に水素爆発を起こし、4号機も3号機で漏れ出した水素が建屋に溜まり、水素爆発を起こしました。

*1号機のメルトダウン(フルメルト)は、5月12日に東京電力が発表

*2号機、3号機のメルトダウンは、5月12日に東京電力が発表

*2、3号機の原子炉圧力容器、格納容器の損傷については、3月29日、原子力安全委員会が発表。1号機の損傷については、5月12日に東京電力が発表
      

 
事故原因
  
原発事故を受け、国会に原発事故調査委員会が設置されました。事故調査委員会は、2012年7月5日、福島第一原発事故の調査報告書をまとめ、公表しました。

調査委員会は「福島第一原発事故は自然災害では無く、あきらかな人災」と結論付けました。


人災1
保安院も、東電も、2006年時点で福島第一原発に敷地高さを超える津波が来た場合、全電源喪失に至ること。海水ポンプが機能喪失し、炉心損傷に至る危険があることは知っていた。

さらに保安院は、東電が対策を先延ばししていることも知っていたが、明確な指示を行わなかった。

事故の根源的原因は、「何回も対策を行う機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局と東電経営陣の意図的な先送り、不作為によって、安全対策が取られないまま、東日本大震災を迎えたことで発生したもの」。

電力事業の監督官庁でもある経産省、経産省の一部である保安院と、東電との間の癒着が一番大きな問題である。


人災2
原発事故が発生した際、東電経営陣には危機管理能力がまったく無かった。保安院も、官邸も本来の仕事を行わなかった。発災直後の最も重要な時間帯に、緊急事態宣言を出すべきであった。


人災3
官邸は現地対策本部を通じて、事業者とコンタクトをすべきとされていたが、東電の本店、現場に直接的な指示し、現場の指揮命令系統を混乱させたことも事故原因。


 
現況

・原子炉には、放出された量の100倍から300倍の放射性物質が残っている。1、2、3号機ともに、かなりの量の放射性物質が鋼鉄の原子炉の底を破り、格納容器に落下している(東京電力発表)。

・事故当初と比べると減少していますが、現在も、放射性物質の流出(放射能漏れ)が続いている(2011年12月1日現在)。
     
・多量の放射能汚染水が発生している。

・建屋内や施設内では、放射能濃度が高い場所が多数。
        

  
今後の見通し
 
2011年12月21日、政府・東京電力中長期対策会議が開催され、「福島第一原発の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」が決定しました。

・今後10年以内に、東京電力の福島第一原発1~4号機から、核燃料を取り出す。

・20年~25年で、建屋から燃料デブリを取り出す。

・40年以内に、福島第一原発を廃炉にする。


 
住民に対する指示

福島第1原発周辺に警戒区域などが設定され、立入り禁止などが指定されています。
 
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