くにゅーニュース(Qnewニュース)
    ホーム    
イエメン、2ヵ月間の停戦、歓迎

2022年4月4日、外務省がイエメンの情勢について、外務報道官談話を発表しました。
       
イエメンは、アラビア半島南端部(サウジアラビアの南)に位置する中東の国家。2014年からイエメン政府とホーシー派(シーア派系勢力)が争い、内乱状態が続いています。
   
サウジアラビアを中心とするイスラム教スンニ派諸国が政府側を支援し、ホーシー派はイランが支援しています。事実上、スンニ派の盟主・サウジアラビアと、シーア派の盟主・イランとの代理戦争になっています。
   
4月1日(現地時間)、国連の仲介により、イエメン紛争の当事者らが2ヵ月間の停戦に合意し、2日19時(現地時間)から停戦が発効しました。
   
この2ヵ月間の停戦合意をうけての外務報道官談話。
   
停戦に歓迎を表明するとともに、仲介に当たったグランドバーグ国連事務総長イエメン担当特使の努力に高い評価を表しました。
   
また、今回の停戦合意が継続的に遵守され、燃料の輸入や商用便の運航再開が実現するとともに、対話進展に強い期待を表明しました。
   

   
イエメンの状況・経緯
    
イエメンは、サウジアラビアの南に位置する中東の国家。面積は日本の1.5倍。人口は2441万人(2013年)です。
     
2014年8月、シーア派系勢力・ホーシー派による反政府デモが発生。以降、イエメン政府と、首都・サヌアなど北西部を実効支配するホーシー派とが争い、内戦状態に入ります。
      
サウジアラビアを中心とするイスラム教スンニ派諸国が政府側を支援し、ホーシー派はイランが支援しています。事実上、スンニ派の盟主・サウジアラビアと、シーア派の盟主・イランとの代理戦争になりました。
       

2015年3月25日、ホーシー派が、イエメン南部のアデン市内に侵攻。これを受け、イエメンのハーディ大統領が、サウジアラビアに軍事協力を要請。翌3月26日から、サウジアラビア軍がイエメン各地のホーシー派軍事施設に空爆を開始しました。

2015年6月、国連の仲介により、ジュネーブにおいて、イエメン政府と反政府勢力代表団の間で和平協議が行なわれたが、不調に終わりました。

その後、2015年12月にも国連の仲介によりスイスにおいて和平協議が、2016年の4月から8月にかけてはクウェートで和平協議が開催されましたが、一時、停戦が発効するも、不調に終わりました。
     

2016年10月4日、ホーシー派が救国政府を樹立し、以降も、政府側との激しい内戦が続くことになりました。
     

2017年11月4日、 ホーシー派がサウジアラビアの首都・リヤドを標的とし、弾道ミサイルを発射。上空での迎撃に成功しましたが、破片の一部がキング・ハーリド国際空港敷地内に落下しました。
 

2018年入ると、イエメンの港湾都市・ホデイダで激しい戦闘が続きました。

ホデイダでの激しい戦闘を受け、国連が仲介に入り、2018年12月6日からスウェーデン・ストックホルムにおいて、政府側(代表:ヤマーニ外相)とホーシー派(代表:アブドゥサラーム報道官)が協議を始めました。

2018年12月13日、イエメン政府側とホーシー派の協議が、ホデイダにおける停戦、部隊の撤退、捕虜の交換、タイズ市における人道回廊開設などで合意しました。
    

2019年に入っても内戦が続き、ホーシー派による、サウジアラビアへの攻撃(弾道ミサイルやドローンによる攻撃)も続いています。

2019年5月14日には、サウジアラビアの原油パイプラインのポンプ場2ヵ所(リヤド州ダワードミー県とアフィーフ県)が、ホーシー派の無人機による攻撃されました。

2019年6月12日にも、サウジアラビア南部のアブハ空港がホーシー派のミサイル攻撃を受け、26名の民間人が負傷しました。

2019年6月23日、サウジアラビア南部のアブハ空港及びジーザーン空港がホーシー派のドローン(無人機)による攻撃を受け、民間人1名が死亡し、21名が負傷しました。

2019年7月2日、サウジアラビア南部にあるアブハ空港が、イエメン・ホーシー派のドローン(無人機)による攻撃を受け、民間人9名が負傷しました。

2019年9月14日、サウジアラビア東部州のアブケイクとクライスの石油関連施設が、イエメン・ホーシー派のドローン攻撃を受け、火災が発生し、石油生産が一部停止しました。
    

2020年3月27日、サウジアラビア・アブハーに向けて発射されたホーシー派のドローン機を撃墜。3月28日、サウジアラビアの首都リヤドへに向けて、イエメンから発射された弾道ミサイル2発を撃墜するも、民間人2名が負傷。

2020年6月22日と23日、イエメンのホーシー派がサウジアラビアの国防省、情報局、サルマン空軍基地などへ巡航ミサイル、ドローン複数機で攻撃。サウジアラビアは、爆弾搭載ドローン8機とミサイル4発を迎撃しました。

2020年11月23日、イエメンのホーシー派が、サウジアラビア・ジッダ北部の石油施設をテロ攻撃。石油配送基地に火災が発生しました。

2020年12月30日、イエメンのマイーン首相らが搭乗するサウジアラビア発航空機がイエメン南部のアデン空港に到着した直後、同空港敷地内で爆発が発生。少なくとも22名が死亡し、50名が負傷。爆発はホーシー派によるテロ行為とみられています(イエメン外務省発表)。
   

2021年10月19日、ホーシー派関係者が在イエメン米国大使館敷地内に侵入し、同大使館職員等30名を拘束しました。

2021年12月6日、ホーシー派がサウジアラビアの首都リヤドに向けて、弾道ミサイル1発を発射。サウジアラビアが迎撃しました。
   

2022年1月17日、ホーシー派がアブダビ首長国(アラブ首長国連邦)の石油施設をミサイル攻撃。タンクローリー3台が爆発し、民間人3名(インド人2名、パキスタン人1名)が死亡し、6名が負傷しました。

2022年3月19日〜20日、ホーシー派がサウジアラビアのジッダの石油関連施設などを弾道ミサイルで攻撃(複数)。サウジアラビアが迎撃した(死傷者は無し)。

2022年3月25日、ホーシー派がサウジアラビア各地を弾道ミサイルで攻撃。サウジアラビアが迎撃したが、ジッダの石油施設で火災が発生した(死傷者は無し)。

2022年4月1日、国連の仲介により、イエメン紛争の当事者らが2ヵ月間の停戦に合意。翌2日19時から停戦が発効しました。
   
ニュースINDEX.2022年4月上旬
★政治・国際
『イエメン』
風景
    ページのトップへ