FOMC、政策金利を2.25-2.50%に
2022年7月27日(現地時間)、アメリカのFRB・連邦公開市場委員会(FOMC)が、政策金利を2.25-2.50%に引き上げました。
FOMCは会合後の声明で、支出と生産の指標は軟化しているが、雇用は堅調であるとしました。
一方、パンデミック(供給不足)や食料とエネルギー価格の上昇が、インフレ率上昇をもたらしているとしました。
雇用最大化の促進と物価安定(インフレ率2%)を達成するため、政策金利を1.50-1.75%から2.25-2.50%に引き上げること(0.75%引き上げ)を決めました。また、引き続きFRBが持つ国債やMBSを売却(削減)していくことも決めました。
金融政策は委員全員一致での決定です。次回の会合は9月20日、21日に予定されています。
*アメリカのインフレ率(消費者物価)は、+9.1%(2022年6月)です
FOMC声明概要
▮ 現状について
・最近の支出と生産の指標は軟化しているが、雇用は堅調であり、失業率は低い。
・インフレ率は引き続き上昇している。パンデミック(供給不足)、食料とエネルギー価格の上昇がインフレ率上昇の要因となっている。
▮ 金融政策について
・雇用最大化の促進と、物価安定(インフレ率2%)を目指す。
・政策金利を2.25-2.50%に引き上げる。FRBが持つ国債やMBSを引き続き売却(削減)していく。
アメリカ金融政策
アメリカ(FOMC)は2008年、金融危機(リーマン・ショック)を受け、経済建て直しのため、ゼロ金利政策をスタートさせました。さらに、量的緩和(QE)を3度(QE1、QE2、QE3)を行ないました。
QEは、FRBが市場の国債や債券(MBS)を購入することで、通貨量を増加させ、景気の回復をはかる政策。金利政策だけで景気回復が図れないとき、ゼロ金利政策に被せる形で行う金融政策です。
▮ 2015〜2018
ゼロ金利などは2015年まで続き、2015年12月のFOMC(連邦公開市場委員会)で解除、政策金利を0.25-0.50%に引き上げました。その後、政策金利は2016年12月、2017年3月、6月、12月、2018年3月、6月、9月、12月のFOMCにおいて、毎回0.25%づつ引き上げました(政策金利は2.25-2.50%に)。
▮ 2019
7月のFOMCで、経済活動の拡大を図るため、政策金利を0.25%引き下げました。さらに、9月と10月のFOMCでも0.25%づつ引き下げ、政策金利を1.50-1.75%としました。
▮ 2020
3月3日のFOMC臨時会合で、武漢肺炎の感染拡大が経済活動にリスクをもたらしているとし、リスクに対処するため、政策金利を0.5%の引き下げ、1.00-1.25%としました。3月15日の臨時会合で政策金利をさらに1.0%の引き下げ、0.00-0.25%(ゼロ金利)としました。また、国債5000億ドル、MBS2000億ドルの買い入れを決めました(QEスタート)。
3月23日のFOMCの臨時会合で、国債やMBSの買い入れ(QE)を無制限としました。4月、6月、7月、9月、11月、12月のFOMCでもゼロ金利とQEの維持が決定。12月のFOMCではQEは少なくとも1ヵ月あたり国債を800億ドル、MBSを400億ドル買い入れるとしました。
▮ 2021
1月、3月、4月、6月、7月、9月のFOMCで、ゼロ金利とQEの維持が決定しました。
10月のFOMCで、ゼロ金利の維持とQEの削減(出口戦略)が決定しました。QEの買い入れ額を、1ヵ月あたり国債については100億ドルづつ、MBSについては50億ドルづつ削減させることに。
12月のFOMCで、QEの削減額を1ヵ月あたり国債については200億ドル、MBSについては100億ドルに変更しました(QEは2022年3月に終了)。
▮ 2022
3月のFOMCで、高くなっているインフレ率(2月の消費者物価は+7.9%)に対応するため、政策金利を0.25-0.50%に引き上げました。
5月4日のFOMCで、政策金利を0.75-1.00%に引き上げるとともに、6月1日からFRBが持つ国債やMBSを売却(削減)していくことを決めました。
6月のFOMCで政策金利を1.50-1.75%に、7月のFOMCで政策金利を2.25-2.50%に引き上げました。
*MBS…Mortgage-backed securities、モーゲージ担保証券、不動産担保証券、住宅ローン担保証券などと訳されています
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