くにゅーニュース(Qnewニュース)
Qnewニュース・ホーム
金融政策決定会合、ETF買入れ額を倍増

2016年7月29日、日本銀行の金融政策決定会合で、金融緩和の強化が決定した。
       
具体的には、ETF買入れ額を現行の年間約3.3兆円から年間約6兆円に増額した(注1)。
       
マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう行う「資産買い入れ」などについて(ETF買入れ以外)は、賛成8、反対1で、維持が決定(注2)。
日本銀行当座預金の一部にマイナス金利を適用する「金利政策」については、賛成7、反対2で維持が決定した(注3)。
     
日本経済については、新興国経済の減速の影響から輸出・生産面に鈍さが見られるものの、基調としては、穏やかな回復を続けていると判断した。
経済の先行きについても、基調としては穏やかに拡大していくとした。
(前回6月の会合と同じ判断)
      
なお、今回は6月30日に就任した政井貴子委員が初めて出席する会合となったが、政井委員は金融緩和の強化、マネタリーベースを年間約80兆円増加させる資産買い入れ、マイナス金利導入に賛成票を投じた。
         
*注1…賛成7票、反対2票での決定。佐藤委員は、約6兆円の買入れについて、市場の価格形成や日本銀行の財務健全性に及ぼす悪影響などを踏まえると過大であるとして反対した。木内委員は、財務健全性への影響のほか、株式市場のボラティリティを高める、株価を目標にしているとの誤ったメッセージになるとして反対した。
      
*注2…木内委員が反対。マネタリーベースを年間約45兆円に相当するペースで増加させる金融市場調節を提案したが、反対多数で否決された。
        
*注3…佐藤委員、木内委員が反対。両委員は、マイナス金利は市場機能、金融仲介機能、国債市場の安定性を損ねることから、所要準備額を除く日本銀行当座預金については+0.1%の金利を適用することが妥当とし、反対した。

*ETF(Exchange Traded Fund)…証券取引所で取引される投資信託。

【決定した金融政策】
<マネタリーベースが年間約80兆円増加するよう調節を行う>
・具体的には、長期国債について、保有残高が年間約80兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。
買入れの平均残存期間は7年~12年程度とする。
        
・ETF保有残高が、年間約6兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。
・JーREIT保有残高が、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。
・CP等、社債等について、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持する。
      
<日本銀行当座預金にマイナス金利を適用する>
・金融機関が保有する日本銀行当座預金に、-0.1%のマイナス金利を適用する。
今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる。
         
・具体的には、日本銀行当座預金を3つの階層の分割し、それぞれの階層に応じてプラス金利、ゼロ金利、マイナス金利を適用。
1、基礎残高…+0.1%を適用。
各金融機関が積み上げた既往の残高。
         
2、マクロ加算残高…0%を適用。
・所要準備額に相当する残高。
・金融機関が貸出支援基金および被災地金融機関支援オペにより資金供給を受けている場合には、その残高に対応する金額。
・日本銀行当座預金残高がマクロ的に増加することを勘案して、適宜のタイミングで、マクロ加算額の基礎残高に掛目を掛けて算出を加算していく。
       
3、政策金利残高…-0.1%を適用。
・各金融機関の当座預金残高のうち、1と2を上回る部分。
       
*現金保有額が大きく増加した場合の取り扱い
金融機関の現金保有によってマイナス金利の効果が減殺されることを防止するため、金融機関の現金保有額が基準期間から大きく増加した場合には、その増加額を、マクロ加算残高(それを上回る場合には基礎残高) から控除する。

ニュースINDEX.2016年7月⑥
★政治・国内
『日本銀行』

ページのトップへ