FOMC、ゼロ金利とQEを維持
2021年7月28日(現地時間)、アメリカのFRB・連邦公開市場委員会(FOMC)がゼロ金利とQEの維持を決定しました。
FOMCは会合後の声明で、ワクチン接種と強力な政策支援により、経済活動と雇用は強化されているとしました。
武漢肺炎のリスクに対処し、雇用最大化の促進と物価安定(インフレ率2%)を達成するため、ゼロ金利(0.00-0.25%)と量的緩和(QE)の維持を決めました。
また、量的緩和(QE)は雇用に大幅な進展が見られるまで、少なくとも1ヵ月あたり国債を800億ドル、MBSを400億ドル買い入れることを決めました。
金融政策は委員全員一致での決定です。
次回の会合は9月21日、22日に予定されています。
*アメリカでは6月初めの時点で、成人の52%(うち高齢者は75%)が武漢肺炎ワクチンの接種を受けています
*量的緩和(QE)…FRBが市場の国債や債券(MBS)を購入することで、通貨量を増加させ、景気の回復をはかる政策
*MBS…Mortgage-backed securities、モーゲージ担保証券、不動産担保証券、住宅ローン担保証券などと訳されています
【FOMC声明概要:2021月7月28日】
■現状について
・ワクチン接種と強力な政策支援により、経済活動と雇用は強化されている。
・武漢肺炎の影響をもっとも受けた分野は、改善してきているが、完全には回復していない。
・インフレ率は上昇している。
・経済を支援するための政策措置などにより、財政状態は引き続き緩和的である。
■金融政策について
・雇用最大化の促進と、物価安定(インフレ率2%)を目指す。
・政策金利、0.00-0.25%(ゼロ金利)を維持する。
・量的緩和(QE:国債やMBSの買い入れ)を現在のペース(1ヵ月あたり国債を800億ドル、MBSを400億ドル)で続ける。
【アメリカ金融政策:2008年以降】
アメリカ(FOMC)は、2008年、金融危機(リーマン・ショック)を受け、経済建て直しのため、ゼロ金利政策をスタートさせました。
さらに、量的緩和(QE)を3度(QE1、QE2、QE3)を行ないました。
QEは、FRBが市場の国債や債券(MBS)を購入することで、通貨量を増加させ、景気の回復をはかる政策。
金利政策だけで景気回復が図れないとき、ゼロ金利政策に被せる形で行う金融政策です。
ゼロ金利などは、2015年まで続き、2015年12月のFOMC(連邦公開市場委員会)で解除、政策金利を0.25-0.50%に引き上げました。
その後、政策金利は2016年12月、2017年3月、6月、12月、2018年3月、6月、9月、12月のFOMCにおいて、毎回0.25%づつ引き上げました。
2019年7月のFOMCで、経済活動の拡大を図るため、政策金利を0.25%引き下げました。
さらに、2019年9月と10月のFOMCでも、0.25%づつ引き下げ、政策金利を1.50-1.75%としました。
2020年3月3日、FOMCの臨時会合で、新型コロナウイルス肺炎の感染拡大が経済活動にリスクをもたらしているとし、このリスクに対処するため、政策金利を0.5%の引き下げ、1.00-1.25%としました。
2020年3月15日、FOMCの臨時会合で、政策金利を1.0%の引き下げ、0.00-0.25%(ゼロ金利)としました。
また、国債5000億ドル、MBS2000億ドルの買い入れを決定させました(QEスタート)。
2020年3月23日、FOMCの臨時会合で、国債やMBSの買い入れ(QE)を無制限としました。
2020年4月、6月、7月、9月、11月、12月のFOMCで、ゼロ金利とQEの維持が決定しました。
2020年12月のFOMCでは、QEは少なくとも1ヵ月あたり国債を800億ドル、MBSを400億ドル買い入れるとしました。
2021年1月、3月、4月、6月、7月のFOMCで、ゼロ金利とQEの維持が決定しました。
*MBS…Mortgage-backed securities、モーゲージ担保証券、不動産担保証券、住宅ローン担保証券などと訳されています
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