「関係しているかどうか、わかりませんが、一緒の席にいた女性なら、少しだけ覚えています」
店長はそう付け加えた。
「二十歳半ばの美人で、女優に例えると…」
岩田は、和田かつ也の女・柿元順子の特徴を説明した。
「違いますね。年令は二十歳そこそこ。身長は160位。昔のアイドルで言うと…」
店長が、女性の説明を始めた。
(まさか…)
一人の女性に思い当たった。
(カレン!)
柿元順子と同じ、北新地の高級クラブに在籍するホステス。依頼者の画商が親しいホステスでもあった。
「写真の男と一緒に?」
「いいえ。いつも一人でした」
「今も来ている?」
「いいえ。彼女もあれ以降、お見えになっていません」
店の外へ出た岩田は、携帯電話を取り出し、依頼者である画商の湯浅に電話をかけた。
「ご主人はいらっしゃいますか?」
電話にでた女性従業員に、画商に代わるよう頼んだ。
「探偵の岩田です。少し教えていただけますか?」
「北新地のホステス・カレンさんの住所です」
知らないとは言わせない、そんな岩田の口調であった。
「なんば駅近くの高層マンションと聞いている」
画商から、場所を詳しく聞き出した。
「カレンが、絵に関係している?」
今度は、画商の湯浅が尋ねた。
「わからないから、調査をしているのです」
取りあえず、岩田はごまかした。
電話の後、岩田は梅田から地下鉄・御堂筋線を利用し、なんばへ向かった。
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