太閤街道殺人事件
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カウンターに腰掛けた。
男が、水の入ったコップを岩田の前に差し出した。

「木下という高校生は、逮捕されたのだな?」
「はい。大麻所持で」

「いつ?」
「2週間前になります」

「どういう状況で?」
「店内で、大麻をやっていたようです。警察が飛び込んで来て」
    
「我々店の者は知らなかったし、気付きませんでした」
 
「警察で絞られ、店のオーナーには怒られ、もう少しで店長をクビになるところでした」
男はクラブの店長であった。
      
「警察の話では、店内で大麻をやっていると、タレコミがあった」
      
「逮捕された高校生は、店に来ていた女性から、大麻をもらったと話したそうです」

「こちらは、本当に何も知らなかったのですよ。警察も、誰かにハメられたようだ、そう言っていました」
店長の話が終わった。

岩田がジャケットのポケットから、写真を取り出した。

「この男に見覚えは?」
和田かつ也の写真を見せた。
   
「最近、よく来られていた、お客様です」
      
「間違いないかね?」
「はい。あの日も来ていたと思います。それ以降、お見えになっていません」
店長がスラスラと応じた。

「高校生に、大麻を渡した女性は?」
「わかりません。警察も掴めていないようです」

 
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