「経済圏を広げたとき、新しく加入する、大きな街はどこですか?」
木下藤吉郎が聴衆に尋ねた。
「名古屋です」
自ら答えを言い、指し棒で名古屋を指した。
大阪から名古屋まで、直線で約140キロ。
半径150キロの円内に入る。
「名古屋は中部地区の中心!」
「名古屋経済圏は、愛知、三重、岐阜、福井、静岡の西半分、長野の南西地域」
「経済圏人口は1千5百万人。東京、大阪に次ぐ日本のナンバー3です!」
「この名古屋を大阪が取り込む!」
スライド画面を叩く音が、会場に響いた。
「名古屋・大阪経済圏を作るのです。4千万人の巨大経済圏を」
木下藤吉郎が、コップの水をイッキに飲み干した。
「そのためには、どうしたらいいのか?」
「名古屋まで通勤できるようにすればいい。簡単な答えです!」
聴衆を睨みつけながら、木下藤吉郎が訴えた。
「大阪・名古屋間に鉄道を造ります。30分・6百円で走る鉄道を!」
「なぜ、30分・6百円なのか、説明していきましょう」
マイクを持ち、木下藤吉郎が壇上の一番、前に移動した。
そして、最前列にいる岩田を見た。
「失礼ですが、お父さん、お名前を?」
右は山口圭子、左は年配の夫人。
お父さんは、岩田のことらしい。
「岩田です」
そう応えた岩田の声が、マイクを通し、会場に流れた。
「岩田さん。お忙しい中、私の講演会に出席していただき、ありがとうございます」
「どちらから、お見えになりましたか?」
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名古屋の夜景:©愛知県 |
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名古屋:©フオトック |
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名古屋:©フオトック |
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