太閤街道殺人事件
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「オレを呼び出すとは、畠山もえらくなったもんだな」
   
スーツ姿の中館顧問がどっしりと腰をおろしていた。

「こちら、元大阪府警の警部・岩田さんです。6年前、田々和かつ也の取り調べを担当しました」
    
警部補が岩田を紹介した。

「岩田さん。元住吉西署の署長、中館さんです」

「お忙しいところ、すいません」
   
先輩の顏を立て、岩田が頭を下げた。中館はアゴで座るよう合図した。テーブルをはさんだ席に着いた。
      
「田々和が殺害されたことについて、何か心当たりはありませんか?」
    
ていねいに尋ねた。

「何度も同じことを聞くな」
    
予想通りの返答であった。

「片山社長の信頼が厚いようですね?」
   
質問を変えた。

「天下りした警察官は、顧問といっても座っているだけ…」
   
天下りに仕事を期待していない。用心棒として、いるだけでいい。
      
「子会社の社長を任されたのは、信頼されているだけでなく、仕事もできるということですね」
  
お世辞を言ったわけではない。ここからが本題であった。

顧問の顔色が変わった。
      
岩田がイスから立ち上がった。そして、ジャケットのポケットから紙片を取り出し、顧問の前に置いた。

紙片には『710ー3』という数字だけが書かれていた。

「プロジェクトを表わすコード名ですね?」

静かに切り出した。
      
「田々和はこのプロジェクトに気付いた。それで殺害された可能性もあるわけです」

「710は平城京が出来た年号。3は長嶋茂雄という有名な元野球選手の背番号。近鉄に平城(へいじょう)という駅があります。漢字は違いますが、長島という駅もあります」

「つまり、710ー3は近鉄の平城駅から長島駅を表わすコード名」

 
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