太閤街道殺人事件
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失敗に終わった。中舘顧問を説得し、協力してもらうことに。

(こういう連中が、すんなりと…)
岩田からすれば、予想した通りでもあった。

しかし、収穫はあった。

(推理通りだ)
中舘顧問のわずかな表情の動きから、岩田は確信した。
     
「和田が殺害されたとき」
ようやく、中館顧問が話した。
   
「私は市長・歓迎パーティに出席している。調べは着いているだろ?」

畠山警部補がうなずいた。

「昔、捜査1課に余計な事ばかりする刑事がいると、聞いたことがある。上層部には相当、毛嫌いされていたとも聞いた」
    
「こんなところで出会うとは。今回も余計なことだよ」
中館顧問は捨て台詞を残し、会議室から退出した。
     
「まいったなあ…」
畠山警部補が呟いた。
     
「わかっていたなら、もっと早く教えてくださいよ、岩田さん」
畠山警部補の言葉が、ぼやきに変わった。

「?」
岩田が畠山警部補を見た。

「数字ですよ。710ー3が平城駅から長島駅までを指していると」

「暗号にしては単純すぎる発想だから、どこかで使用しているコード名だと考えた」
   
「1兆は、後で付け足したようだ。線路建設に1兆円掛かるという意味で」

これは、ツアー添乗員の小林優香のおかげである。
当初、紙に書かれていたのは『710ー3』だけと教えてくれたから。
      
つまり、710ー3だけで、意味のある暗号だとわかった。

「岩田さんが、経済に強いなんて知りませんでした」
畠山警部補がイヤミを言った。
 
「中館顧問をどう思いましたか?」
そう続けた。

「やはり、相当なタヌキだな。完璧なアリバイがあるのは、なにが起こるか知っていたということだ」
事件が起こる時間帯に、アリバイを作っておけば、疑われることは無い。
 
「今から、兵庫県警の伊吹警部に説明してきます。われわれは今日のパーティに参加しません。よろしくお願いします」

パーティの様子を後で教えてください、との意味であった。

 
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