「殺害された田々和かつ也と、七洋電子機械工業の立石浩一がつながっていた」
ベンチに腰掛け、独り言ように呟いた。
「1つは木下陣営の内部情報を知り過ぎている。木下藤吉郎の息子のことも」
「2つ目は太閤街道ツアーに参加したこと」
「ユスられた植芝会長が田々和を拘束するため、うちのツアーに、と推めた」
「太閤街道ツアーは罠。田々和もわかっていたはず。にもかかわらず、罠に掛かった」
「木下陣営の中に協力者がいたと考えたら、行動が理解できる。そういうことですね?」
「うん。3つ目は絵」
「誰かが持ち去った。つまり、価値を知っていた。絵のことを聞いた人物がいる」
「これも協力者がいたということの裏付けですね?」
畠山警部補の確認が続いた。ゆっくりとうなずいた。
「田々和を殺害したのは、立石になりますね?」
「片山社長がその筋の人間を動かした。しかし、危なくなると、一番先に逃げ出すタイプの男。殺害するのは難しい」
畠山警部補がそう続けた。
「うん。刃物で刺すとなると、近付く必要がある。ユスリという仕事の最中。油断していたとは考えられない」
「可能なのは気の許した人物。協力者であれば近付くのも」
「しかし、物証がありません。状況証拠ばかりで」
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