「ところが、田々和は木下陣営をユスルことを思い付いた」
「これはおいしいと思ったのだろう。ひとつは立石から内部情報を入手していた。必要な情報はすべて持っていた」
「もうひとつは植芝会長。一樹を孫のように思っている。だから、いくらでも金を出す。そのうえ表沙汰にしたくないから警察には通報しない。さらに公安委員を務めているから、その筋にも依頼しない」
「リスクが少ないうえに大金が取れる、おいしい仕事だと考えた」
「井戸口にネタを渡した後、すぐに取りかかった。ネタが使われる前にユスる必要があった。絵の換金を後回しにして、パーティが行なわれる長良川温泉へ向かった」
「もっとも、井戸口はこのネタをすぐに使うつもりは無かった。実際に知事選が始まってから使う予定だった」
これは府庁の市谷部長の見解。今、ネタを使うと、知事選から降ろすことは出来ても、意志を継ぐ別の人物が出馬する。
「ゆすられた植芝会長は田々和を拘束するため、太閤街道ツアーに参加させた。そして、調べた」
「元大阪府警の署長だった中館顧問からの情報で、正体を知った。植芝会長は取り引きするつもりだった。しかし、片山社長は最初から、あるいは途中で…」
「田々和が710ー3について知っていたから、ですね?」
畠山警部補が確認した。岩田がうなずいた。そして続けた。
「ネタ探しの途中、このコードを知った。そして、その意味も。片山社長としては、そこまで知られているのであれば…」
「独断でその筋に依頼したわけですね。田々和の処置を」
「一樹が聞いている。片山社長の電話を。こっちでカタをつける、会長は心配しないでください、そう言っていたと」
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