太閤街道殺人事件
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「あの日、立石は名古屋駅午後5時10分発の近鉄特急に乗車している。記者の三条坂圭子が証人だ」

「彼女から話を聞きました。そのとき、変わったところは無かったと」

畠山警部補が補足した。

「それに何かあれば、時間の掛かる近鉄特急を使いません。新幹線を使います」
  
「つまり、田々和からの問い合わせは、近鉄特急が発車した午後5時10分から、田々和がホテルを飛び出した午後5時25分の間、ということになります」
    
畠山警部補が断言した。

「うん。迎えにいく。それまで身を隠せ、そう伝えたと思うよ。だが、その時点で殺害ということも」
   
「立石は営業部時代、毎日のように名古屋へ出張していた。だから、すぐにわかった。このまま乗車していては」
   
「はい。そのままだと大阪難波着が午後7時40分。難波からバイクで飛ばしたとしても、有馬温泉到着は午後8時半頃。遅過ぎます。最初の停車駅は桑名駅。到着時間は…」
     
「午後5時26分」
   
畠山警部補が手帳で確認しながら説明した。

「この桑名駅で下車した。そして、名古屋へ引き返し、新幹線ですね」

「引き返したら、名古屋午後5時58分発の新幹線」

 
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近鉄特急:©三重フォトギャラリー
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伊勢志摩:©三重フォトギャラリー
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近鉄・路線案内図
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