岩田は、有馬温泉のホテルへ向かった。
太閤街道ツアーが利用したホテルである。
疲れが一気にでた。岩田はどこかで休憩しよう、そう考えた。
「岩田さ〜ん」
ホテルに入ると、斜め前から声がかかった。
岩田が、やや下向きだった顏を上げた。そして、表情が緩んだ。
「小林さん!」
太閤街道ツアーの添乗員・小林優香であった。
「びっくりした。どうして、ここに?」
聞くまでもなかった、スーツ姿を見れば。
「神戸・ワインと温泉ツアーの添乗員として、です」
うれしそうに、小林優香が応えた。
「復帰したのですね?」
「はい。あ、暗号ですか?」
紙片に気付いた、小林優香がそう尋ねた。
兵庫県警の伊吹警部から渡された、俳句のようなものが書かれた、一枚の紙片であった。
ポケットに仕舞っていたのだが、いつの間にか取り出し、岩田が手に持っていた。
「まあ、そんなもんです」
立石浩一のダイニングメッセージというべきもの。
「間違えているかもしれませんが…」
紙片をじっと見つめていた、小林優香が言った。
そして、小林優香が説明を始めた。
岩田は、それをジッと聞いた。
「添乗員さ〜ん」
説明が終わった、ちょうどそのとき。
ロビーに現われた婦人が、ツアー添乗員・小林優香を呼んだ。
「は〜い。岩田さん、また」
小林優香のうしろ姿を見送った。
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有馬温泉 |
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有馬温泉・金の湯:©神戸観光局 |
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有馬温泉・銀の湯:©神戸観光局 |
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