太閤街道殺人事件
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翌日、畠山警部補から報告が入った。

「柿元順子が自首してきました。立石浩一殺害を」
   
「思い出したそうです。田々和かつ也が立石という名前を言っていたと。何者か調べたところ、秘書室の立石浩一に行き着いた。有馬温泉に呼び出し追及したところ、うらぎったため殺害したと」
   
「それで、かっとなって。ナイフは用心のため、いつもカバンに入れてようです」

「井戸口と田々和かつ也を引き合わせたのは、彼女でした」
    
井戸口は大阪の黒幕と云われる財団の理事長。

「田々和は井戸口に依頼され、木下藤吉郎を調査していたと言っています。彼女は詳しく知らないようですが」

「あんな男のためにどうして、こんなことをしたのか、自分でもわからないと」
  
「責任を感じていたのかもしれませんね。推測どおり、あの日、田々和から有馬温泉まで迎えに来てほしいと電話があった。体調が悪かった彼女はそれを断った」
   
「タヌキがユスられていたことを認めました」

タヌキは梅田片山建設の片山社長。

「ですが、田々和かつ也の始末を依頼したことは、とぼけています。取り引きするつもりだった。取り引きは午後8時、有馬温泉のホテル近くの駐車場」
    
「駐車場で待っていたら、駆け付けてきた加美室長から中止するよう説得を受けた。その上、田々和かつ也が現われず、大阪に引き返した。この一点張りです」

「それから昨日逮捕されたカレン。認めました。木下一樹に大麻を渡したことや、田々和かつ也の指示だったことも」

「立石浩一の彼女と母親からも話を聞けました」

「彼女によると、殺害された日、電話があったそうです。ほとんど何もしゃべらなかったようです。ただ、声が聞きたくなったと」

「実家の母親にも電話をしています。ここでも…。殺されることを予感していたのでしょうか?」
      
立石浩一にバイクを貸した男も見つかったと、畠山警部補が報告した。

「高校のクラスメイトでした。新神戸駅近くのワンルームマンションに住んでいます。あの日、電話があったのは、仕事を終え、ちょうど自宅に帰ったときです。時刻は午後5時半頃だと思います」

「今、名古屋にいる。これから新幹線で帰るのだが、兵庫の田舎の工場まで書類を取りに行かなければならない。バイクを借してくれないか、という内容でした」
   
「駅前で待っていると、午後7時過ぎに現れました。バイクを渡しました」
   
このバイクで新神戸駅から有馬温泉へ走った。

 
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有馬温泉の街角
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