太閤街道殺人事件
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「女がいた。南の宗右衞門町でホステスをしている」

そう告げると、畠山警部補がうなづいた。そして説明を始めた。
   
「柿元順子ですね。今は北新地のブルーパピヨンにいます。大阪で1、2を争う高級クラブです」
      
「田々和と柿元順子は、かつては一緒に暮らしていましたが、今はお互い別々のマンション。それでも関係は続いていたようです」
      
畠山警部補に続いて、伊吹警部が説明した。
  
「加藤という男の死体を、田々和かつ也であると確認したのは彼女です。田々和には内縁の妻というべき柿元順子以外、身寄りはいません」

「彼女は殺害されたことに、心当たりが無いと言っています。またヘタを打って、そう呟いていました。笑っているのか、泣いているのか…」

「腐れ縁が切れたことを喜んでいるのかもしれませんね。彼女も田々和に喰い物にされた人間ですから」
  
岩田の声がさびしく響いた。
   
「柿元順子にはアリバイがありません。当日、体調がすぐれないという理由で、クラブを休んでいます。自宅は西梅田の高級マンション。一人暮らしです」
  
「マンションの防犯カメラに死角がありました。映らずに出入りできます」

(彼女が殺害するだろうか?)
  
田々和とは中学時代の同級生。それ以来の付き合いと言っていた。彼女の顏ははっきりと浮かんだ。美人であった。

 
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