画商が帰ったあと、岩田はしばらく考えていた。
しかし、頭の中は混乱するばかり。
時刻はちょうど午後3時。
(やはり、柿元順子だ)
混乱する頭をリセットしたとき、岩田はそう思った。
(彼女が何も知らないとは思えない。店は北新地のブルーパピヨンだったな)
電話を掛けた。
年輩の男性が応対にでた。
「阿倍野の岩田と申します。柿元順子さんは今日出勤されますか?」
「そうですか。では予約したいのですが」
結局、午後7時半に予約を取った。
その後、畠山警部補に電話をした。
畠山警部補は、湯浅という画商については知っていた。しかし、岩田を紹介した覚えは無いと応えた。
電話のあと、岩田はインターネットで調査を始めた。
まず検索したのは和田かつ也。
しかし、何も出てこなかった。
次にマッホの絵。
マッホを紹介するサイトや、絵の値段のサイトを検索した。
該当する絵は1987年のバブル時代、ニューヨークのオークションにかけられた。
それを、東京のリゾート会社が2億8千万円で競り落していた。
バブル崩壊後、リゾート会社が倒産。絵は行方不明となった。
銀行が差し押えたとか、政治家への贈り物に使用されたとか、色々な噂がネット上に出ていた。
絵の価値はバブル時代、数億円という話もあった。しかし、現在では「3千万円程度」との話が出ていた。
(3千万円の購入契約は妥当のようだな)
(まずい)
時計は午後6時半を回っていた。
着替え、岩田は事務所を飛び出した。
|
|
|
|