「いや。聞きたいのは事件の方で無く、所持していたマッホの絵です」
「見たこともありませんわ。彼のマンションにも無かったと思います。警察には?」
すでに絵についても聞かれていたようであった。テンポ良く質問を返した。
「画商が絵を買い取ることになっていました。販売先も決まっていて、入手できないと困るようです」
首を左右に振ったあと、そう回答した。
「そこで、探偵さんが登場したわけですね」
微笑みながら応じた。
(彼女から真実を探るのは難解だ。だが、田々和が亡くなった今、絵は柿元順子のもの。隠す必要はない)
「最後に会ったのは、いつですか?」
話を変えた。
「亡くなる一週間前かしら…」
「そうそう、普通のビニール袋に入ったお茶をお土産に持って。山を越えたら三重県だが、間違いなく京都の宇治茶だと」
話が終ったとき、スタッフが彼女の元に。そして、耳元でささやいた。
「探偵さん、失礼します」
そう言ったあと、柿元順子が立ち上がり、テーブルを離れた。
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