太閤街道殺人事件
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事務所に戻ると、ネット調査を再開した。

(まず、井戸口)
   
6年前の事件の被害者。すぐに判明した。事件の半年後、大阪府を退職し、関連団体に天下り。その後、関連団体を渡り歩き、現在は「なにわ産業開発財団・理事長」というポストに就いていた。

(関連団体を動く度に、退職金を貰ったわけか。高級クラブで飲めるわけだ)
    
掲示板やブログには「大阪の黒幕」「大阪のガン」など悪い噂ばかりであった。
      
次に、田々和が参加した太閤街道ツアーを調べた。

旅行を主催したのは中京総合ツーリスト。名古屋に本社を置く中堅旅行会社で、バスツアーが経営の柱であった。ホームページにも多数のバスツアーが紹介されていた。

ホテルは特に問題は無かった。再び、旅行会社の調査に戻った。
   
会社自体は特に問題は無い。

(気になるのは会長だ)
   
中京総合ツーリストの会長・植芝隆之、73歳。創業者でもある。生まれも、現住所も名古屋市中村区。家族は妻。

実家は小さな運送会社を営んでいた。二十歳過ぎのとき、その隣に旅行会社を設立した。
   
若い頃の植芝会長は、キツネと呼ばれるくらい「やり手」であった。わずか20年で、業界の中堅に伸し上がった。本社も名古屋駅前に移転した。

しかし、60歳を過ぎた頃、堅実な経営方針に転換した。業界では「天下取りをあきらめた」という噂が立った。その頃から、財界活動や社会奉仕活動を積極的に行なうようになった。現在では「名古屋財界の世話人」と呼ばれる程である。
     
多数の役職を引き受けていた。その中に公安委員会の委員もあった。

(聞いたことがある)
  
役職のひとつ「木下藤吉郎後援会」副会長。木下藤吉郎(ふじお)という名前を聞いたことがあった。
   
謎はすぐに解けた。

来年の大阪府知事選に立候補すると、噂されている人物であった。新聞や雑誌にそのようなことが書かれていた。

 
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