府庁を退出した後、上町台地を南へ。
井戸口が理事長を務める財団は、府庁から徒歩5分のビルに入居していた。名前を告げると、受付嬢が立ち上がり、理事長室まで案内してくれた。
「お待ちしていました。さあ、どうぞ」
井戸口がドアのところまで来て出迎えた。誘導されるまま、ソファに腰を下ろした。
(数千円はする)
料亭の弁当が置かれていた。
「いつも忙しくて、昼食はこの時間です」
時刻は午後2時5分前。
「岩田さんの分も用意しておきました。どうぞ」
弁当を食べないと、質問には応じてもらえない雰囲気であった。
「探偵をなされているようですな。辣腕刑事さんがやっているなら、繁盛まちがいないでしょう」
苦笑するしかなかった。そして、本題に入った。
「実は今、マッホの絵を捜しています。そのことについて」
「申し訳ないが、絵のことはまったく。この絵」
壁に掛かっている油絵を指差した。大きさは40号辺り、日本の原風景を描いた絵であった。
「そこそこ高価な絵のようですが、私には…。猫に小判ですな」
(相当いい絵だ)
「絵では無く、ナニワ湯浅画廊について御存知では?」
「知っていますよ」
あっさり認めた。
「たまに絵画をプレゼントされることがあります。しかし、興味もありませんので、湯浅くんに買い取りを」
プレゼントでは無く、ワイロである。
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| 上町台地の大阪城 |
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| 上町台地の大阪城 |
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| 上町台地の大阪城 |
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