小さな画廊を出たあと、ナニワ湯浅画廊の周辺を探索した。
ナニワ湯浅画廊は、若い女性従業員が一人だけ。主人の姿は見当たらず、出入りする客もなかった。
そろそろ引き上げようと思ったそのとき、こちらに向かってくる若い女性を見つけた。
(見覚えがある)
岩田は、スッとビルの影に隠れた。
若い女性が近づいてきたとき、それが誰か、はっきりと判った。
(カレンさん)
カレンは昨晩、北新地のクラブで、岩田の相手をしてくれたホステスである。
クラブでは二十歳前に見えたが、今日は二十歳過ぎ、いや、半ばに見えた。
彼女は、岩田に気付くことも無く、ナニワ湯浅画廊に入った。
なじみの店に立ち寄る感じであった。
画廊の奥から、主人の湯浅が現われ、楽しそうに談笑を始めた。
10分程すると、画商の湯浅とカレンが腕を組んで、外に出てきた。
そして、北へ向かった。
(同伴出勤か)
気付かれないよう尾行した。
国道1号線に出たあと、東へ動いた。
国道沿いの高級ホテルに入り、地下のレストランへ向かった。
(不思議なことでもない)
画商と井戸口は深い関係。
井戸口は北新地・ブルーパピヨンの常連。
画商も行ったことはあるだろう。
カレンの客であっても、不思議はない。
(依頼者に中間報告する必要は無い)
岩田という探偵がブルーパピヨンを訪れたことは、カレンから報告されるだろう。
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春の南天満公園 |
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天満の造幣局「桜の通り抜け」 |
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天満の造幣局「桜の通り抜け」 |
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