名古屋駅前に到着したのが、昼の11時。
大通りに面した一等地に、15階建ての中京総合ツーリスト本社ビルが建っていた。スーツ姿に着替え、ビルの中へ入った。
(繁盛している)
一階は広い営業フロア。多数の客がいた。カウンターもすべて埋まっていた。どう見ても、大手の旅行会社であった。
会社の雰囲気を確認するため、ゆっくりと店内を一周した。偵察の後、係員に話し掛けた。
「ツアー中に殺害された人物のことで…」
しばらく待つと、二階の応接室に案内され、2人の社員と向かい合った。
一人は40代、細身で銀ぶちメガネをかけた、イカにも中間管理職。事実、名刺は総務部係長・山中進。もう一人は30代。森のクマさんといった容姿で、名刺は事業部・鈴木市郎。
「お亡くなりになられた、お客様のことで、そう伺いましたが?」
係長が淡々と話した。
「はい。殺害された人物について、です」
「どういう経緯でツアーに参加されたのか、教えていただけないでしょうか?」
「困りましたね。私共に関係することは、すべて警察に話しています。お答えして、よいものかどうか…」
隣に座っている「森のクマさん」は何か言いたい様子。しかし、係長に仕切られて、話すことはなかった。
「御社の植芝会長の知り合いですね、殺害された人物は?」
ゆさぶりを掛けた。二人の社員に動揺が走った。
(これ以上、話をしても無駄)
会社の雰囲気など十分収穫はあった。ネットにも会社がユスられているような話は出ていない。今日、ここに来てもそう感じた。
ただ、植芝会長の名前を出したときの「動揺」がすべてを物語っていた。ビルを出た。
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| 名古屋駅前:©フォトック |
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| 名古屋城:©旅々 |
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