太閤街道殺人事件
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豊国神社に到着したのは、午後3時前。

豊国神社は豊臣秀吉を祀る神社で、各地に存在する。ツアーは名古屋の中村、京都の東山、大阪城の豊国神社に参る。
   
東山の豊国神社は元々、豊国廟にあった社殿である。豊臣氏滅亡後、破壊、放置された。しかし、時代が『明治』に変わると、方広寺の大仏殿跡に再建された。国宝の唐門が有名で、桃山時代を代表する建築物である。

「立派な建物ですね。さすが国宝だけのことはある」

彼女も肯いた。

同じ敷地にある「方広寺の鐘」のもとへ向かった。唐門の左手、すぐの場所にある。
  
ツアーはこの鐘を見学する。
   
方広寺は秀吉によって建立されたお寺である。戦国時代に焼失した奈良・東大寺に代わる、大仏を造立しようとして建てられた。そのため「京都の大仏殿」と呼ばれたが、建立後すぐ、地震により崩壊した。
      
秀吉の死後、息子の秀頼が再興するが、鐘の銘『国家安康 君臣豊楽』が問題となる。
     
家と康の間に「安」が入って、家康の字を割っている。この銘は「徳川家康に対する呪い」と「豊臣家の繁栄を願うものだ」と言いがかりを付けた。そして、大阪冬の陣、夏の陣と呼ばれる戦になり、豊臣氏は滅んだ。

その巨大な鐘が現在も残っている。
   
鐘を見学したあと、徒歩で高台寺へ向かった。
     
東山通を北に進むと、学生服姿の中学生や高校生が溢れていた。秋の修学旅行シーズンであった。
      
「渋滞していますね?」
      
「はい。紅葉シーズンに入ると、さらに」

紅葉の時期には、まだ早かった。京都市中の見頃は11月中旬から下旬に迎えることが多い。もちろん、色づきの早い年と遅い年とでは、2週間前後、見頃の時期がズレる。
    
たとえば、嵐山地区では早い年は11月15日頃に見頃のピークを迎えるが、遅い年は12月初めにピークとなる。

 
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風景
東山・豊国神社
風景
東山・豊国神社
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方広寺の鐘
風景
方広寺の鐘
    Qnewニュースプレゼンツ