車に戻り、大阪へ向かった。
名刺の住所に到着したのは昼過ぎ。不動産会社は国道2号線沿いの雑居ビルに入居していた。車を近くの駐車場に駐め、ビルに向かった。
心地良い、涼しい風が吹いていた。
(月が変わると、気候も変わるものだな)
10月は「夏」であった。
(大阪経済が低迷している原因の一つは「夏の暑さ」と言われているが、まさにそのとおりだ)
4月から10月までが「夏」。特に7月から9月は猛烈に暑い。誰れもが、クーラーの効いた室内に居て、外出を控える。経済が低迷するのも当然であった。
「岩田さん!」
雑居ビルの前で振り返ると、畠山警部補が走ってきた。
「あそこですか?」
視線は隣のビルを指した。ガラス張り、12階建ての豪華な建物で、掲げられた看板は「梅田片山建設」。木下藤吉郎後援会会長・片山豪太郎が一代で作り上げた会社であった。
「業界の中堅だと聞いていたが、いい建物だな」
「ええ。評判のいい会社のようです。仕事も確実だし、経営状態も問題ありません」
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