そのとき、立石浩一に動きがあった。
隣の加美秘書室長にひと言、掛けると、受け付けを離れ、ホールの外へ出た。
「圭子ちゃん?」
岩田が、この動きについて尋ねた。
「たぶん、京都」
「明後日、京都駅前のホテルで『関西共和国をつくる会』のパーティが開催されます。立石さんは準備のため」
山口圭子がそう答えた。
「関西共和国というのは?」
岩田の質問が続いた。
「関西の2府4県が1つになって共和国を、という研究会です」
山口圭子がそう答えた。
「関西を独立させるわけ?」
岩田が山口圭子に尋ねた。
「違います。日本連邦共和国の中に、関西共和国を作るという考えです」
山口圭子がきっぱりと応えた。
「なるほど」
「そういうタイトルになっていますが、実質は木下藤吉郎社長のパーティです」
「ちょっと」
岩田が山口圭子を外に連れ出した。
「木下藤吉郎社長に、何かあるわけですか?」
今度は、山口圭子が質問。
「実は絵を捜している」
「絵ですか?」
山口圭子が確認した。
「うん。3千万円の風景画」
3千万円は、画商が購入する金額。
画商は、これを3億円で売却する予定である。
「それが木下藤吉郎社長と?」
「何とも言えない。ところで、木下藤吉郎をずっと取材しているのかな?」
再び、岩田が山口圭子に質問した。
「もちろん」
山口圭子がきっぱりと応えた。
「お茶でも、ご馳走しようかな」
「チーズケーキも付けて貰えます?」
山口圭子が笑いながら、応じた。
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大阪府立中之島図書館(中之島) |
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